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「無料」と宣伝してユーザーをだますダークパターン広告をやめない税務申告サービスを連邦取引委員会が提訴


かねてから「無料プランの加入方法が非常に分かりにくい」と指摘されていた税務申告補助ソフトの「TurboTax」を運営する「Intuit」に対し、アメリカの連邦取引委員会(FTC)が行政上の訴えを起こしました。ユーザーを意図的にだますデザイン「ダークパターン」を違法だと指摘するもので、訴えの中ではIntuitがTurboTaxを無料だと宣伝する「虚偽の広告」を直ちに停止するようFTCは求めています。

FTC Sues Intuit for Its Deceptive TurboTax “free” Filing Campaign | Federal Trade Commission
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2022/03/ftc-sues-intuit-its-deceptive-turbotax-free-filing-campaign


アメリカでは、収入が一定の額を下回る人は無料で税務申告をすることが可能です。それでも自力で税務申告を行うのは難しく面倒なため、税務申告を補助するサービスの需要は高くなっています。「TurboTax」もそのような税務申告補助ソフトの中でも最大手を誇っており、2019年には4000万人のユーザーがTurboTaxを利用していたと報道されています。

合法ギリギリの手法で利権を死守してきた税務申告補助ソフトウェア企業「Intuit」のやり口とは? - GIGAZINE


しかしその一方で、TurboTaxは「有料プランへの誘導が多すぎて無料プランを利用することが難しい」という一種の「ダークパターン」を含んでいると、権力の乱用を監視する非営利ニュースサイトのProPublicaが2019年に指摘していました。ここでは、「無料」というワードで検索に引っかかるよう宣伝しつつも、とにかく有料プランに誘導されたり、実際に無料ページにアクセスすることはできない仕組みになっていたりと、悪意のある設計だと指摘されています。

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by Kelly Sikkema

TurboTaxに対し消費者団体が集団訴訟を起こしていますが、Intuitは顧客に対する不正行為を否認して「常に顧客に対して明確かつ公正である」と述べていました。そのような状況を受け、2021年3月29日にはついにアメリカ連邦取引委員会がIntuitを提訴すると宣言する文書を公開しました。

連邦取引委員会は、「無料」と繰り返し使用されているTurboTaxの広告が、消費者に「TurboTaxを用いると無料で税金を申告できる」と誤解させていると主張しています。税申告に書類提出が必要になる場合は有料プランに誘導されたり、特定の条件にある税申告者だと無料プランが使用できなかったりと、2020年には税申告者の約3分の2がTurboTaxの無料プランを使用できなかったとのこと。

消費者保護局の責任者であるサミュエル・レバイン氏は、「TurboTaxはとにかく無料(Free)と表記することで消費者を集め、いざ税申告の時期になると料金を請求しています。税申告のシーズンに慌ててソフトを利用することでお金を払わざるをえなくなってしまう消費者を保護するため、この手法を直ちに停止するよう裁判所に求めています」と述べています。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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