Facebookの広告アカウント闇市場がインドの総選挙に立ちはだかる
インドでは2024年4月19日から10億人近い有権者が参加する下院総選挙が開催されており、同年6月1日まで7回にわけて投票が行われます。Facebookにはインドで政治広告を出稿できる偽アカウントや盗難アカウントの闇市場が存在しており、実際にインドで行われる選挙に影響を与える可能性があると、ビッグテックに対する透明性を検証する非営利団体のTech Transparency Project(TTP)が指摘しています。
TTP - Facebook Black Market for Ad Accounts Looms Over India Election
https://www.techtransparencyproject.org/articles/facebook-black-market-for-ad-accounts-looms-over-india
Facebookの親会社であるMetaは、アカウントの売買や交換を禁止しています。しかし、TTPによれば、FacebookやInstagramのアカウント、WhatsAppの番号、アメリカの社会保障番号など、ソーシャルメディアに関するあらゆるものの取引が行われている闇市場が存在するとのこと。実際にFacebookアカウントを販売する複数のユーザーが「インド向けに政治や選挙問題に関する広告を出せる」とアピールしているそうです。
例えば、2023年6月には、あるユーザーがFacebookのグループに「インドの認証済みアカウントが利用可能」という投稿を行い、「社会問題、選挙、政治に関する広告を承認されたアカウント」のスクリーンショットを添付しました。
TTPが発見したアカウント転売ユーザーの多くがベトナム・タイ・カンボジア・スリランカ・ミャンマーなどアジア圏に在住となっていますが、実在するかどうかは不明です。
2024年11月にはアメリカ大統領を決定する選挙が開催されます。2016年の大統領選挙の時には、Facebookが抱える個人情報をコンサルティング企業が利用し、選挙に大きな影響を与えた「ケンブリッジ・アナリティカ問題」が発覚して大きな騒動となりました。
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Facebookはこのケンブリッジ・アナリティカ問題以来、ユーザーデータの取扱いやアカウント管理について取り締まりを強化し、オンラインでの選挙の公平性を守るために多大な投資をしていると主張しており、もちろんMetaはアカウントの販売を禁止しています。2023年にMetaは「Spamouflage Dragon」と呼ぶ中国政府主導の偽装スパムアカウント群を一斉削除したと発表しました。
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しかし、実際はMetaの取り締まりがまったく追いついておらず、悪意のあるユーザーとのいたちごっこになっているのが現状。TTPによれば、あるユーザーは2024年1月に「アメリカの政治用に検証済みのFacebookアカウントが必要ですか?」というメッセージを投稿しており、他国のユーザーからも好意的な返信を受けていたそうです。
TTPは「選挙の公正性を守ると主張しているにもかかわらず、Metaはプラットフォーム上の広告対応アカウントの闇市場に大きな盲点を持っているようです」と指摘し、悪意のある者が偽アカウントや盗んだアカウントを使えば、インドをはじめとする選挙開催国でデマや扇動的なメッセージを拡散することが容易になってしまうと警鐘を鳴らしています。
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