Uberがタクシー市場に参入したことで収入が失われたと主張する運転手に最大1億7800万ドルを支払うことにUberが同意
ライドシェアサービスを提供するUberが、オーストラリアのタクシー事業者8000人以上が原告となる集団訴訟で、2億7200万オーストラリアドル(約1億7800万ドル、日本円で約266億円)を原告側に支払う和解案に同意しました。この和解金はオーストラリア史上5番目に高い額だとのことです。
Live stream of trial for Uber group proceedings | The Supreme Court of Victoria
https://www.supremecourt.vic.gov.au/news/live-stream-of-trial-for-uber-group-proceedings
Uber to pay $272 million to Australian taxi operators
https://www.smh.com.au/technology/uber-to-pay-272-million-to-australian-taxi-operators-20240318-p5fd4p.html
Uber to Pay Australian Taxi Drivers $178 Million to Settle Suit - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-03-17/uber-to-pay-australian-taxi-drivers-178-million-to-settle-suit
この集団訴訟は、モーリス・ブラックバーン法律事務所が「Uberがライドシェアを展開したことで、タクシー業を営む人たちの収入が激減した」として、オーストラリアのタクシーやハイヤーの運転手8000人以上を代表して2019年に提訴したものです。
原告は「Uberと契約している運転手は適切な免許や認定を受けておらず、オーストラリアにおけるUberの事業は違法であることをUber自身も認識していた」と主張しました。
これに対して、Uberは「それこそがイノベーションであり、反発するタクシー業界こそ違法な手段による陰謀を展開している」と反論しました。
裁判はビクトリア州最高裁判所で2024年5月17日まで続く予定でしたが、同年3月18日朝に原告・被告の両者で合意が成立したことが発表されたため、終了となりました。
Uberは声明で、「私たちは2018年以来、オーストラリア各州のタクシー補償制度に多大な貢献をしてきました。本日の和解案により、私たちはレガシーな問題を過去のこととして決別しました」と述べています。また、Uberの広報担当者は、原告側と和解に達したものの、合意がまとまって和解内容が裁判所に開示されるまでは詳細に答えられないとコメントしました。
オーストラリアの運輸労働組合のメンバーであるマイケル・ケイン氏は「今回の和解が過去の過ちを正すものではないことは承知しています。しかし、今は未来に目を向け、すべての参加者にとって業界をよりよくするための基準をどう設定できるかに注目すべきです」と述べました。
なお、オーストラリアでは2024年2月に公正労働法が改正され、2024年8月に施行されます。この改正された公正労働法によれば、Uberには公正労働委員会の定めた労働条件や最低賃金などが課せられることになりますが、Uberはこの改正に賛同していると報じられています。
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