Appleが独禁法違反で2940億円の巨額罰金とApp Storeのルール変更をEUから命じられる

App Storeのアプリ開発者が、アプリ外で利用できる安価な代替サービスをユーザーに知らせることを禁止するAppleの「アンチステアリング規定」は、EUの独占禁止法にあたる反トラスト規則に違反しているとして、欧州委員会がAppleに約18億ユーロ(約2940億円)を超える制裁金を科すことを発表しました。

Commission fines Apple
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_1161

The App Store, Spotify, and Europe’s thriving digital music market - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2024/03/the-app-store-spotify-and-europes-thriving-digital-music-market/

Spotify wins as EU orders Apple to pay $2B and change App Store rules | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/03/apple-to-pay-2b-after-eu-finds-app-store-abusive-siding-with-spotify/

Spotifyは2019年3月に、欧州委員会に対して「AppleがApp Store上で競合他社に不当な制限を課している」との訴えを起こしました。そして、この問題に関する審査の中で、Appleが安価な代替サービスの提案をアプリ開発者に禁じていた疑いが浮上し、当局が調査を進めていました。

AppleはSpotifyとのApp Storeを巡る争いでEUから独占禁止法違反で年間売上の10％に相当する罰金を科される可能性 - GIGAZINE

そして、欧州委員会は2024年3月4日の発表で、「Appleが音楽ストリーミングアプリの開発者に対し、アプリ外で利用できる安価なサービスがあることをユーザーに通知することなどを禁止していることが判明しました」との調査結果を報告しました。

欧州委員会によると、Appleはアプリ開発者に次の行動を禁止していたとのこと。
・アプリ外で利用可能なサブスクリプションサービスの料金をiOSユーザーに通知すること。
・App Storeでのサブスクリプション料金と、それ以外の場所での料金の差額をiOSユーザーに通知すること。
・アプリ内にアプリ開発者のウェブサイトへのリンクを設置し、そこで代替サービスに加入できるようにすること、および新規ユーザーに電子メールなどで連絡を取って代替サービスについて通知すること。

欧州委員会はさらに、これらの「アンチステアリング規定」が欧州連合の機能に関する条約(TFEU)に違反する不公平な取引に当たると認定した上で、Appleの世界的な収益と抑制力の必要性を考慮すると、総額18億ユーロ超の罰金を科すのが相当だと結論づけました。

欧州委員会がAppleに罰金を科すのはこれが初めてで、その金額は当初の予想の4倍になりました。

この決定に対し、Appleは公式ブログで「欧州委員会は、消費者の被害について信頼できる証拠を何一つ明らかにできなかったにもかかわらず、App Storeがデジタル音楽市場における競争の障壁となっているとする決定を発表しました。これは、活気と競争にあふれた、急速に成長している市場という現実を無視したものです」と述べて、控訴する意向を示しました。

一方、Spotifyは「欧州委員会は、消費者への通信を制限するAppleの行為は違法であるという結論を明確に打ち出しました。この決定は、消費者にとってより開かれたインターネットを求める闘いにとって重要な意味を持ちます」と述べて、欧州委員会の決定を歓迎しました。Spotifyはまた、「これでAppleの悪行が解決されたわけではありません」として、今後もEU以外の地域でAppleとの戦いを続けることを表明しました。