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App Store以外からの決済・アプリダウンロードを可能にする仕組みをSpotifyが実現予定


App Storeを介さないアプリダウンロードやアプリ内決済を禁じていたAppleの牙城がEUのデジタル市場法(DMA)施行により崩れることを受け、音楽配信サービスのSpotifyが、自社アプリ・サービスからの決済やアプリダウンロードを許可するための準備を進めていることを明らかにしました。

The DMA Means a Better Spotify for Artists, Creators, and You — Spotify
https://newsroom.spotify.com/2024-01-24/the-dma-means-a-better-spotify-for-artists-creators-and-you/

Spotify plans to launch in-app purchases, if Apple gets out of the way - The Verge
https://www.theverge.com/2024/1/24/24048561/spotify-dma-eu-apple-app-store-epic

Apple thought it dealt with Epic v. Apple — has it really? - The Verge
https://www.theverge.com/24049014/apple-epic-court-ruling-developer-tax

Report: Sideloading in Europe Will Still Involve App Review and Fees - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/01/24/sideloading-in-europe-app-review-and-fees/

Appleはアプリ内決済についてApp Storeを介したものしか認めておらず、最大30%の手数料を課しています。さらに、iPhoneなどにアプリをインストールする経路もApp Storeのみに限定しているため、一部の国の規制機関から「市場の競争を阻害している」と見なされています。


Appleなどの大手IT企業を厳しく規制するデジタル市場法がEUで施行されたことにより、AppleはEU圏において2024年3月7日までに、iOSアプリをApp Store以外で配布すること、そしてアプリ内購入時にサードパーティの支払いプラットフォームの使用を許可することを求められました。ただし、Appleがどのように規制に従うのかはまだわかっておらず、個々の企業にApp Store外での決済を自由に許可しない可能性もあります。

SpotifyもAppleの囲い込み戦略に苦慮していて、これまで自社アプリ内での決済やプラン変更ができなかったほか、提供する新製品やキャンペーン、オーディオブックなどの価格や販売時期、購入方法についてアプリ内で告知することすらできなかったそうです。


2024年1月24日、SpotifyがDMAの施行を歓迎する声明を発表するとともに、将来的にSpotifyアプリで決済を可能にし、自社サービスから他のSpotifyアプリをインストールできるようにするための準備を進めていることを明かしました。

これにより、サブスクリプションやオーディオブックなどの価格に関する情報をSpotifyアプリで表示できるようになり、今後の発売予定についてもアプリ内で明確に通知することができるとのこと。

さらに、アプリ内決済が可能になることで、アプリ内で数回タップするだけでプランの変更ができるようになるほか、アプリ内で直接アイテムを購入してすぐに視聴できるなどのメリットがユーザーにもたらされるそうです。また、DMAの施行で、Spotify for ArtistsやSpotify for PodcastersといったアプリをSpotifyの公式サイトからダウンロードできるようにすることも可能になります。


ただし、Appleがデジタル市場法をどのように順守するのかはまだ不明であり、Spotifyが期待するような手数料なしの決済は実現しない可能性もあります。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、Appleはこのような変化に対応するために1年以上にわたり計画を進めていて、出した結論は「App Store以外から提供されるアプリをApple自身がレビューする能力を保持し、開発者から引き続き手数料を取る」というものだそうです。

Appleがアプリ内決済に手数料を課しているという点については、ゲーム「フォートナイト」を開発するEpic Gamesから訴訟が起こされ、2024年1月に、別の課金システムへのリンクをアプリに挿入することを認める結論がカリフォルニア州裁判所から下されています。ただし、認められるのはアメリカ向けのアプリのみに限定されていて、さらに挿入方法にも厳格な表示ルールが課されているほか、最大27%の手数料をAppleに取られてしまうことから、Epic Gamesは「本質的な問題である手数料の仕組みが改善されていない」として異議を申し立てる姿勢を見せています。

ウェブ決済でのApple税は「裁判所の命令を台無しにするもの」としてEpic Gamesが異議を申し立てる方針 - GIGAZINE


Appleのルールに従って外部リンクを挿入した場合、ユーザーはリンクを選択するたびに警告画面を見せられるほか、支払いフローが巻き戻ってしまうため、ユーザーに過度な負担をかけてしまうことになります。27%という手数料についても、アプリ開発者がサードパーティの決済処理業者と契約した場合の手数料を考えると、かえって元より高くついてしまう可能性もあるとのこと。

なんとしてもエコシステムを維持したいAppleがEUの規制にどのように対処するのかが、各国のアプリ開発者から注目されています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1p_kr

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