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Spotifyの最高法務責任者が「Appleが独占企業のように振る舞う理由」について語る


AppleはiPhoneやiPadといったApple製端末向けの唯一のアプリストアであるApp Store上で、サードパーティ製のアプリケーションの売上の30%を手数料として徴収しています。この手数料が高額過ぎるということで、SpotifyやEpic Gamesといった企業が訴えを起こしています。Appleの提供するプラットフォームに対して不満を抱えるSpotifyで最高法務責任者を務めるオラシオ・グティエレス氏が、「なぜAppleは独占企業のように振る舞うのか」について独自の見解を語りました。

Why Spotify’s Horacio Gutierrez thinks Apple behaves like a monopolist - The Verge
https://www.theverge.com/22457400/spotify-horacio-gutierrez-apple-app-store-interview-decoder

GoogleやApple、Facebookといった巨大テクノロジー企業は世界中の国々で独占禁止法違反の疑いで政府当局からの調査を受けており、日本でも独自の調査が進められています。また、フォートナイトの開発元であるEpic GamesがAppleを相手取り訴訟を起こしており、世界中が訴訟の行く末を見守っています。

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そんなAppleを、Spotifyのグティエレス氏は「Appleは独占欲の塊」「冷酷ないじめっ子」と批判しています。

その理由について、グティエレス氏は「Appleは大企業であり、信じられないほどの成功を収めている企業であり、多くの点で称賛に値します。私はApple製品のファンであり、数カ月前に行われた独占禁止法に関する公聴会の中で私が証言した際に、Apple Watchを着けていることに気づいた人もいるはずです。そんな私がAppleに対して批判的なコメントをすることは信じられないかもしれません。しかし、企業および企業が行ってきた多くのこと、さらには企業が生み出してきた美しい製品を称賛することと、ビジネス上の特定の側面を批判することは全く別のことです。Appleの『App Storeに関するポリシー』と『App Store上のあらゆるアプリを扱う方法』は、明らかに不公平だと思います。Appleのこれらの扱いは規制当局の注目に値するものです」と語り、Apple製品を愛しているものの、AppleのApp Storeの運営方法については疑問を呈さざるを得ないと非難。

さらに、Appleと競合他社がApp Store上で健全な競争を行えるように、App Storeを介さない独自の支払いシステムの利用をアプリに認めるべきとグティエレス氏は主張しています。実際、Appleは初期のApp Storeではアプリが独自の支払いシステムを利用することを認めていたため、グティエレス氏は「当時の反競争的な虐待が起こる前の状況に戻るだけ」と指摘しました。


続いて、海外メディアのThe Vergeは「大きな障害のひとつは、規制当局を含め、多くの人々がApple製品を愛しているということです」「規制当局や一般の人々、さらには私やグティエレス氏のような人々まで、Appleは良い製品を作っていると考えています。そんなAppleと独占禁止法に関する争いを行い、そして勝利するには、後方における戦いをしなければいけないのではないでしょうか?」とグティエレス氏に質問しています。

これに対して、グティエレス氏は「我々のような立場の人々が、Appleから経験したすべての悪い行いを一般向けに知らせることが重要と考えています」とコメント。


初期のiPhoneはサードパーティ製のアプリを搭載するように設計されていませんでした。その後、iOSの競合となるAndroidが登場したことで、Appleはサードパーティ製のアプリを配信するためのプラットフォームとしてApp Storeを構築する必要性に迫られます。そして、Appleは「App Storeの登場によりiPhoneはすべてのアプリが使えるようになる」と宣伝し、ユーザーやアプリ開発者を引き付けました。

そしてサードパーティ製のアプリがクリティカルマスに到達したあたりから、AppleはApp Storeのルールを厳格なものに変更していったとグティエレス氏は指摘。具体的には、Appleのサービスと競合するようなアプリに対して、AppleはApp Store上で厳格な規制を課していったとのこと。

このようなAppleの過去の行いがベースとなり、Spotifyのような競合企業がAppleに反旗を翻していると「一般向けに正しく伝える必要がある」とグティエレス氏は語っています。


さらに、AppleとEpic Gamesの訴訟で争点となっている「App Storeが売上の30%を手数料として徴収していること」について、The Vergeが「手数料が15%に引き下げられればSpotifyは幸せになりますか?」とグティエレス氏に質問したところ、同氏は「問題は手数料が30%か15%か10%かという話ではなく、完全に任意に設定されており、競争から隔離されてしまっているということです。市場経済の中で、手数料が30%であろうと50%であろうと、ユーザーがそれに納得するのであれば、高額な手数料であろうとAppleは請求することができます。我々が問題視しているのは、Appleは競合他社が参入してApp Storeに新しい支払いシステムを提供することを阻止しているということです」と語り、問題はAppleが手数料を高額に設定していることではなく、支払いシステムを独占している点にあるとしました。

また、アプリ開発者が複数の支払いシステムを選択できる場合、製品に適した支払いシステムを選ぶことができ、最終的にアプリを使用するユーザーもそれらの支払いシステムの中からどれを使うかを決定することが可能となります。したがって、どの支払いシステムを組み込むかの決定はアプリに、どのアプリを信頼するかはユーザーの手に委ねられることとなるわけです。これこそがモバイルOS向けのプラットフォームにとって正常なあり方であるとグティエレス氏は主張しています。

加えて、一般の消費者にとってはAppleが抱える問題は「想像するのが難しいことは十分に理解している」とグティエレス氏。続けて、「消費者は目に見えないものではなく、実際に目の前にある製品によって現実を判断します。しかし、実際には公正な競争や開かれた競争こそが、より多くの革新を生むための前提条件であり、それにより今は存在しない製品が将来的に登場することとなります。その『将来生まれる製品』が何かを言うのは難しいですが、これこそがイノベーションです」と語り、公正な競争環境があってこそイノベーションが生まれ、より良い製品を一般消費者が使えるようになると指摘。

実際、音楽業界の在り方を変えたiTunesやSpotifyといったサービスも、公正な競争環境により生まれたイノベーションにより誕生したものであるため、「公正な競争環境をAppleが阻害しようとすることは間違ったことである」とグティエレス氏は語っているわけです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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