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「ベーシックインカムの実験を禁止する法案」の背後に億万長者に煽られたロビー活動グループが存在していることが発覚


個人が性別・年齢・所得水準に関係なく無条件で定期的かつ継続的に一定額の金額を受け取る社会保障制度「ユニバーサルベーシックインカム」は勤労貧困や少子化などの対策案として期待されており、世界各国で実験的な導入が行われています。アメリカでは24の州で150以上のユニバーサルベーシックインカムの実験が行われていますが、7つの州でユニバーサルベーシックインカムの実験を阻止する法案が提出されており、その背後にはとある団体のロビー活動があると報じられています。

The Billionaire-Fueled Lobbying Group Behind the State Bills to Ban Basic Income Experiments
https://www.scottsantens.com/billionaire-fueled-lobbying-group-behind-the-state-bills-to-ban-universal-basic-income-experiments-ubi/


2021年3月2022年11月に、アメリカのテキサス州議会でユニバーサルベーシックインカムを禁止する法案が提出されました。どちらの法案にも「政治的区画の個々の住民に定期的に無条件の現金給付を行う『ユニバーサル・ユニバーサルベーシックインカム』を禁止する」という条文が書かれていました。どちらの法案も最終的に否決され、テキサス州では2024年2月の時点で7件のユニバーサルベーシックインカムの実験が行われています。

2023年4月には、ウィスコンシン州でもユニバーサルベーシックインカムを阻止する法案が提出されました。この法案はウィスコンシン州議会を通過したものの、トニー・エバーズ知事(当時)が拒否権を発動したことで否決されました。

さらに2024年の1月にはアイオワ州、同年2月にはウェストバージニア州サウスダコタ州アリゾナ州アーカンソー州でも、ユニバーサルベーシックインカムを阻止する法案が提出されました。いずれの法案も、Foundation for Government Accountability(FGA)というロビー団体が議員に法案を書いてもらうという活動を行っていたと、ユニバーサルベーシックインカムに関するブログ・UBI Guideは指摘しています。


FGAは、ポール・ルパージュ元メイン州知事の顧問を務めていたタレン・ブラグドン氏によって、2011年にフロリダで設立された団体です。ブラグドン氏は、FGAの目標について「アメリカを、起業家精神が栄えて個人の責任が報われ、給料が生活福祉料に取って代わる国に戻したい」「州レベルでも連邦レベルでも、より多くのアメリカ人に生活を変えるほどの仕事を与えるにはどうすればいいかという1つの大きな課題に正面から取り組む」と語っています。

しかし、フロリダ州のシンシア・ディル元上院議員が「FGAは福祉改革を熱心に訴える、経験の浅い右翼活動家集団だと記憶しています。彼らは保健福祉サービスの専門知識を全く持っていませんでした」と述べている通り、主張する内容は論理性に乏しかったとUBI Guideは評価しています。


FGAは2024年2月に「なぜ州はユニバーサルベーシックインカム制度を禁止するべきなのか」という論文を発表しました。この中で「ユニバーサルベーシックインカムは個人の責任を犠牲にし、勤労意欲をそぎ、政府からの給付金への依存を増大させる」と主張しています。しかし、この論文はほとんどが文献からの引用で構成されており、データと論理に基づく主張がほとんどなかったとのこと。

この論文を発表してから1週間後、FGAは同様の主張を行う論説をダラス州のメディアに掲載。FGAはこの論説で、1970年代に行われた実験の結果を挙げてユニバーサルベーシックインカムを否定しましたが、UBI Guideは現代に行われている実験とは大きく条件が異なるため、FGAの結論を否定しています。また、2024年2月に発表されたテキサス州でのユニバーサルベーシックインカムの実験では「支給対象となった家庭で、住宅状況や就労環境が改善され、生活レベルが向上するケースが見られた」という結果が出ましたが、この論説ではこの研究報告が完全に無視されていたそうです。


監視団体(ウォッチドッグ)のCenter for Media and Democracyによると、「Ed Uihlein Family Foundation」という資産家の財団法人がFGAを支援しているとのこと。このEd Uihlein Family Foundationは総資産価値50億ドル(約7500億円)の財団法人で、2014年から2021年までに総額1785万ドル(約27億円)をFGAに寄付しているとのこと。他にも、自由主義活動家によって設立された「Donors Trust」が2014年から2022年まで1720万ドル(約26億円)を寄付しています。このDonors Trustは「右翼の闇ATM」と呼ばれているそうです。他にもさまざまな支援団体がFGAに多額の寄付を行っていることがわかっています。

UBI Guideは、FGAに行われているばく大な寄付はただの富裕層の税金対策であり、それによってFGAが精力的にユニバーサルベーシックインカム反対運動を展開できていると主張しています。加えてUBI Guideは、ユニバーサルベーシックインカムは富裕層への増税にもつながることから、ユニバーサルベーシックインカムの導入は富裕層とFGAの両方を脅かすことになるだろうと論じました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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