サイエンス

脳スキャン画像が男性のものか女性のものか90%以上の精度で判別するAIモデルをスタンフォード大学が開発


脳には男性と女性で違いがあるといわれていますが、具体的に構造面ではっきりとわかる違いはこれまで示されてきませんでした。スタンフォード大学の脳神経科学者ヴィノッド・メノン博士らは、脳スキャン画像を読み込んで、男性のものか女性のものかを90%以上の精度で判別するAIモデルの構築に成功したことを明らかにしました。

AI Determines Sex of Person From Brain Scans - Neuroscience News
https://neurosciencenews.com/ai-gender-identification-25631/

メノン氏は研究の主要動機について、性別の違いが脳の発達や老化、神経疾患・精神疾患の発現に重要な役割を果たしている可能性があることから、一貫性があって再現可能な脳の性差を特定することは、性特有の問題を理解するための重要なステップであると語っています。


これまで、男女で脳の働きに違いがあることは指摘されてきましたが、はっきりとした構造の違いは見つかっていませんでした。

30年分のデータを調査した結果「男女の脳に有意な差はない」と判明 - GIGAZINE


公益社団法人日本心理学会の機関誌「心理学ワールド」の2016年10月号に掲載された、京都大学の澤田玲子氏と佐藤弥氏による「男脳vs女脳?─感情処理における行動と脳の性差」という特集記事では、「脳梁の後部にあたる脳梁膨大と呼ばれる部位が、女性は男性よりも大きく球根のような形状をしている」という先行研究に対して、男女の脳のMRI画像を示し、判別が難しいことを示しています。

男脳 vs 女脳?――感情処理における行動と脳の性差
(PDFファイル)https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/75-9-12.pdf


メノン氏は、脳画像データを分類するディープニューラルネットワークモデルを作成し、「男性か女性かどちらかの脳スキャン画像を読み込む」というタスクを行いました。すると、タスクを約1500回繰り返すと、AIモデルはスキャン画像が男性のものか女性のものか、高精度で判別できるようになりました。

判別しているポイントは脳のデフォルトモードネットワークや線条体、大脳辺縁系ネットワークなどで、今回の結果から、従来はこの違いが検出できていなかっただけであることが示唆されています。

メノン氏らの作ったAIモデルは、複数のデータセットで良好な成果を挙げているとのことです。なお、脳の性差は生まれて早いうちからあるものなのか、あるいはホルモンの影響や社会的状況の違いを受けて引き起こされるものなのかについては、今回の研究の対象となっていません。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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