スーファミのサテラビューで配信された「F-ZERO」の幻のコースには約75万円の懸賞金がかけられている
1995年から2000年にかけて日本限定で提供されていたスーパーファミコン向けの衛星データ放送サービス「サテラビュー」は衛星放送を使って音声とデータを配信することが可能で、現在のインターネットでのダウンロード配信のようにオリジナルゲームや追加データが多数配信されました。しかし、サービスが終了した今となっては遊べないものも多く存在します。このサテラビューで配信されていた「BS F-ZERO GRAND PRIX 2」にはなんと5000ドル(約75万円)の懸賞金がかけられており、有志によって再現が試みられています。
Press The Buttons: Lost Satellaview F-Zero Tracks Return
https://www.pressthebuttons.com/2024/02/lost-satellaview-f-zero-tracks-return.html
F-Zero courses from a dead Nintendo satellite service restored using VHS and AI | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2024/02/f-zero-courses-from-a-dead-nintendo-satellite-service-restored-using-vhs-and-ai/
「F-ZERO」は1990年にスーパーファミコンで発売されたレースゲームです。この「F-ZERO」の続編は1998年にNINTENDO64で発売された「F-ZERO X」とされていますが、実は「F-ZERO」と「F-ZERO X」の間に、サウンドリンクゲームとしてサテラビューで配信された「BS F-ZERO GRAND PRIX」と「BS F-ZERO GRAND PRIX 2」というタイトルが存在します。
「サウンドリンクゲーム」は、サテラビューで放送されていたラジオと連動してゲームをプレイするというサテラビュー独自のゲームです。たとえばラジオ音声で「あと5分でレース開始です」と流れると、音声に合わせて本当にゲーム内でレースが始まります。サウンドリンクゲームはラジオ放送と連動するため、毎週決まった時間に1時間だけ遊ぶことが可能で、ゲームデータは専用のメモリーパックに保存され、データの起動は放送時間内のみでした。
「BS F-ZERO GRAND PRIX」は初代「F-ZERO」をベースにしたゲームで、サウンドリンクゲームとして配信されました。そして、この「BS F-ZERO GRAND PRIX2」は、「BS F-ZERO GRAND PRIX」から新コースだけをピックアップしたタイトルになります。つまり、「BS F-ZERO GRAND PRIX2」で遊べるコースは、いずれも初代F-ZEROには収録されていないものだったというわけです。
しかし、この「BS F-ZERO GRAND PRIX2」はサウンドリンクゲームなので、放送時間にしかプレイすることができません。サテラビューは2000年にサービス提供が終了してしまったため、記事作成時点ではプレイすることが完全に不可能になってしまっています。
サテラビューは日本限定で展開されたサービスだったため、海外のF-ZEROファンは「BS F-ZERO GRAND PRIX2」を遊ぶ機会を得られませんでした。そのため、この「BS F-ZERO GRAND PRIX2」のコースデータには5000ドルの懸賞金がかけられました。その後、中古で販売されていたメモリーパックから一部のデータが発見されたものの、「BS F-ZERO GRAND PRIX2」で配信されたコースのすべては記事作成時点でも発見されていません。
UPDATED: $5,000 USD Bounty on finding playable BS-X carts/ROMs of the Satellaview F-Zero's Forest and Metal Fort tracks.
byu/Porthgeidwad inFzero
しかし、2018年に「BS F-ZERO GRAND PRIX2」の貴重なプレイムービーが、kukun kun氏によってYouTubeに公開されました。ムービーの説明欄によると「当時サウンドリンクゲームをプレイして録画したビデオテープからデジタル化したもの」とのこと。
BS F-ZERO グランプリ2 第1週 - YouTube
そこで、データからコースを抽出するのではなく、kukun kun氏がアップしたムービーをもとに、YouTuberのFlibidyDibidy氏が開発した「Graphite」というツールを用いてコースを再現する試みが行われました。このGraphiteは、「『スーパーマリオブラザース』のファミコン実機によるプレイを、録画を機械学習で分析してエミュレーター上に再現する」というツールです。
このGraphiteを使ってkukun kun氏のムービーからエミュレーターに動作を読み込ませ、そこから「BS F-ZERO GRAND PRIX2」のコースを再現するという試みが行われました。
こうして再現されたコースのデータは「オリジナルに対して99.9%以上正確」とのことで、記事作成時点ではF-ZEROのROMファイルに適用できるパッチとして配信されています。ただし、再現されたコースパッチはオリジナルのデータではないため、懸賞金の対象になるかは不明です。
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