任天堂のあの「サテラビュー」でSlackのメッセージを受信したツワモノが現れる
スーパーファミコンの専用周辺機器として1995年に登場した「サテラビュー」は、BSアナログ放送波を使って衛星とデータ通信でき、空からゲームを配信するという、独創的なゲーム機器でした。任天堂の思うようには普及することなく消えていったサテラビューですが、人気のチャットツール「Slack」のメッセージをサテラビューで受信することに成功した技術者が現れています。
Slack on a SNES | bertrand fan
https://bert.org/2018/10/18/slack-on-a-snes/
インターネットが普及するより前に、「衛星からゲームなどのコンテンツを配信するという」画期的なシステムが取り入れられていたサテラビューでしたが、BSアナログ放送を受信できる環境を整えている人がそれほど多くなかったなど、さまざまな原因で思うようにはヒットせず。任天堂は2000年にサテラビューのコンテンツ配信を終了しており、任天堂の黒歴史のひとつになっています。
Slackのエンジニアのベルトランド・ファン氏は、つい最近、1990年代に日本市場に向けてBSでコンテンツを配信するという興味深いゲーム周辺機器であるサテラビューの存在を知ったとのこと。サテラビューの仕組みを知ると同時に、「スーパーファミコンに衛星信号を送れれば、Slackを使えるのではないか?」と思いついたそうです。
ファン氏は自身がMacユーザーということもあり、サテラビューをサポートするエミュレーターとして「bsnes-plus」を使うことにしました。なお、OS X向けのバイナリが見つからなかったので、bsnes-plusは自分でコンパイルしたそうです。
次にサテラビュー向けのゲームカートリッジ「BS-X -それは名前を盗まれた街の物語-」の英語版のDRMバージョンを使い、「8BitDo Mod Kit」を使ってオリジナルのスーパーファミコン・コントローラーをMacとBluetoothで接続しました。
ファン氏は「SatellaWave」というツールを使ってSatellaview Broadcastバイナリファイルを生成しました。
ファン氏はゲーム内の店で販売されるアイテムリストに目を付けました。このリストを改良することで、「Name」に時間と送信者を、「Usage Text」にメッセージを割り当てれば、Slackのメッセージを受信するメーラーのように活用できると考えたというわけです。
そして、SatellaWaveにある現在の設定をXMLファイルとして保存する機能を活用し、SlackのAPIとボットを組み合わせてチャンネル履歴の確認と最新メッセージを引き出すプロセスを自動化することで、Slackのメッセージを受け取ると店のアイテムを更新する仕組みに改変し、「サテラビューでSlackのメッセージを受信する」という荒業に成功しました。
サテラビューでメッセージをリアルタイムで受信する様子は以下のムービーで確認できます。
Slack running on a SNES - YouTube
「見事にサテラビューでSlackメッセージを受け取る」という「夢」に成功したファン氏は、「たとえ夢が愚かでも、夢に従うべき」というメッセージをブログに残しています。
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