任天堂とソニーの黒歴史が詰まった幻のゲーム機「Play Station」の本物が登場
Wii Uやニンテンドー3DSを有する任天堂とPlayStation 4やPlayStation Vitaを手がけるソニーは、家庭用ゲームハード市場をけん引する企業であり、長きにわたって激しいバトルを繰り広げてきました。今でこそゲームハード市場で覇を競う任天堂とソニーですが、かつてカートリッジスロットとCDドライブの両方を備えるスーパーファミコン互換機を共同開発したことがあります。諸事情で同製品は発売こそされなかったもののプロトタイプが発見され、IT関連メディアのEngadgetが伝説のゲームハードの所有者にインタビューを実施し、気になる入手経路などが明らかになりました。
We turned on the Nintendo PlayStation: It's real and it works
http://www.engadget.com/2015/11/06/nintendo-playstation-is-real-and-it-works/
ソニーは自社製のCD-ROMドライブを1990年に発売されたばかりのスーパーファミコンの周辺機器として供給するという契約を任天堂と交わし、1991年にシカゴで開催された家電見本市のCESで「Play Station」という名称の試作機を発表。しかしながら、発表からわずか1日後に、任天堂がソニーとの契約を破棄してスーパーファミコンのCD-ROMドライブをフィリップスから発売することを発表しました。一説には「CD-ROMのライセンス料全てをソニー側が得る契約だったため任天堂が契約を破棄した」などと言われていますが、その真偽は不明です。
両社の関係はこれで決裂し「Play Station」は宙に浮いてしまいますが、これを契機にソニーはゲームハード市場へ参入し、現在の成功を収めたというわけです。
結局発売されなかったソニーの「Play Station」はゲーマーの間で伝説のゲームハードとなり、世界に約200台しか現存していないと言われています。そのPlay Stationを所有するオーナーにEngadgetが接触し、インタビューを実施し実際にPlay Stationをプレイしています。
インタビュー、およびNintendo PlayStationを実際にプレイしている様子は以下のムービーから確認可能です。
We Turned on the 'Nintendo PlayStation' - YouTube
Engadgetは、以前にSCEワールドワイド・スタジオ代表の吉田修平氏に「Play Station」に関するインタビューを行っていました。
吉田氏は「私は、その存在について肯定も否定もしません。すごく昔の話なので、あまり記憶が……」と、はぐらかしていました。話せない、もしくは話すべきではない事情があるのが垣間見えます。
しかしながら、EngadgetはPlay Stationのプロトタイプを所有する人物に接触することに成功。画面中央にいるのが実際にPlay Stationを入手したテリー・ディーボルトさんで、右側が息子のダンさんです。
これがテリーさんのPlay Station。
コントローラーの1つにはソニーとPlayStationのロゴが入っています。
背面には「NINTENDO SUPER FAMICOM CONTROLLER」と記されています。
テリーさんが所有するPlay Stationは、正常に起動するくらい保存状態が良好。
テリーさんはAdvantaという企業に勤めていましたが、2009年にAdvantaが倒産。倒産後にAdvantaの所有物がインターネットオークションにかけられ、そこで出品されていたPlay Stationをテリーさんが落札したというわけです。落札価格は75ドル(当時のレートで約6800円)で、世界に約200個しかないことを考えると安すぎるくらいの値段でした。
テリーさんは「Play Station」がどんな製品なのかをインターネットで調べますが、詳細についてほとんどわからなかったとのこと。しかしながら、息子のダンさんがRedditの掲示板でPlay Stationの存在を議論するスレッドを発見し、「これってお父さんが持ってるアレじゃないのか」と思いPlay Stationのムービーを撮影しYouTubeにアップロードしたところ100万回以上再生されるほどの反響がありました。
Play Stationで「ストリートファイターII」をプレイするテリーさんとダンさん。
カートリッジを差して……
電源ボタンをオン。
さらに正面にあるボタンを押します。
Play Stationに接続されているテレビの画面に「Super Disc」と表示されました。
「きほんきのう」にはV-RAM・DS-RAM・OAM・WORK RAM・DMA・TIMER・おんげんCHECKという項目が並んでいます。
画面下に「NO CD-ROM SYSTEM」と表示されており、CD-ROMドライブは機能しない模様。
3人がプレイするのはスーパーファミコンのボンバーマンシリーズ最終作となった「スーパーボンバーマン5」です。
スーパーボンバーマン5は無事に起動し、3人で対戦プレイ。
スーパーファミコンに熱中していた当時を思い出すかのように盛り上がる3人でした。
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