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サードパーティーCookieが廃止されたらウェブマーケティングはどのように変化するのか?


GoogleはChromeでサードパーティーCookieを廃止することを宣言しており、ウェブマーケティングはCookieレスのシステムを整えることが求められています。コードのパフォーマンス診断ソフトを開発するSentryが、実際にサードパーティーCookieを自社サイトから廃止した場合についてまとめています。

We removed advertising cookies, here’s what happened | Product Blog • Sentry
https://blog.sentry.io/we-removed-advertising-cookies-heres-what-happened/

Cookieはウェブサイトがウェブブラウザに保存する情報で、サイトを訪れた日時や訪問回数などが記録されています。このCookieのおかげで、IDとパスワードを入力しなくても再び同じサイトにログインできたり、ショッピングサイトから離れてもカートに商品が残ったままだったりするわけです。


CookieにはファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの2種類があります。ファーストパーティーCookieは、チェックしたウェブサイト自体が発行するCookieのこと。一方、サードパーティーCookieは、ウェブサイトに配置された広告などの第三者が発行するCookieです。

サードパーティーCookieは複数のウェブサイトにおける行動を追跡し、ユーザーがどういう商品に興味を持っているかどうかを判別します。それによって、ユーザーの興味に合わせた広告を表示する「ターゲティング広告」が可能になります。


しかし、このサードパーティーCookieは、ユーザー本人が同意していないにもかかわらず複数の企業やサービスで個人の情報を共有することにつながり、プライバシー上の懸念があります。そのため、GoogleはサードパーティーCookieを廃止するべく動いており、Chromeは2024年第1四半期からユーザーの1%でテストを行い、その後第3四半期から段階的に廃止していく予定を明らかにしています。

GoogleがサードパーティーCookie廃止へのスケジュールを公開、2024年スタート予定 - GIGAZINE


統計会社のStatcounterによれば、2023年12月時点のウェブブラウザのシェアは、Chromeが64.7%、Safariが18.59%、Edgeが4.96%、Firefoxが3.35%となっています。このうち、SafariはすでにサードパーティーCookieを2020年3月からデフォルトで完全にブロックしています。

AppleのSafariがサードパーティーCookieを完全にブロック、一般的なブラウザでは初 - GIGAZINE


ChromeとSafariがサードパーティーCookieをブロックするということは、多くのユーザーでサードパーティーCookieが機能しなくなることを意味し、サードパーティーCookieを使わないウェブマーケティングが必要になるといえます。

そこで、Sentryは自分のサイトでサードパーティーCookieをすべて廃止した上で、ウェブマーケティングの方法を模索したそうです。その結果、従来のGoogleアナリティクスやSEOレポート、Google広告のスマート自動入札などが利用できなくなってしまったほか、以下のような予想外の問題にぶつかったとのこと。

・YouTubeのサイトへの埋め込みが使えなくなる
GoogleクリックID(GCLID)が発行されなくなる
・広告プラットフォームとデータ共有されないため、Lookalikeモデリングのオプションを選択できない
SalesforceとGoogle広告の統合が使えない
・ディスプレイ広告とYouTubeからの登録が完全に失われる
・コンテンツ分析のためのリファラーデータを失う

Cookieを使わないターゲティングとして、Sentryは「広告エンゲージメントリターゲティング」を採用したとのこと。これは従来のサードパーティーCookieを必要とするリターゲティング広告と異なるもので、Meta・LinkedIn・YouTube・Redditで提供されているとのこと。さらに広告とのエンゲージメントを促進するため、ユーザーからの認知を得るべく動画広告を導入しているそうです。


また、サードパーティーCookieを廃止したことで、広告の入札システムに大きな影響を与えたとのこと。Googleは広告プラットフォームの中でも最大規模ですが、サードパーティーCookieを廃止したことでユーザーの興味や購入意図は把握できず、ただ「広告をクリックしたかどうか」しか認識できなくなるためです。

さらにサードパーティーCookieを廃止することで、これまでのレポートが使えなくなり、自前で用意したスクリプトでデータの計測を行って分析する必要が生じます。しかし、Sentryによれば、UTMパラメーターとリファラーデータさえ正しく機能すれば、どの広告やキャンペーンがどれだけのパフォーマンスを発揮しているのかを把握できるそうです。

Sentryは、「私たちが優先的に取り組んでいる自己申告によるアトリビューション分析は、私たちのバイアスを取り除き、新たな拡大分野を発見するのに役立っています。また、複数あるデータの理解にも取り組んでいます。これらはすべて、将来Cookieレスを迎えた時に必要な手足となります」と述べています。


加えて、Sentryは「Cookieレス化は複雑な課題を伴う大事業のように思えるので、先延ばしにしたくなるのもわかります。しかし、好き嫌いとは関係なく、Cookieレスの未来は訪れます。Cookieレスへの移行は大きな負担となり、犠牲を払う必要がありますが、新しい視点を獲得し、ユーザーのプライバシーを尊重しながらマーケティングを学ぶことができるかもしれません」と述べています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1i_yk

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