サイエンス

美しく輝く「天王星の環」をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮影した新たな画像をNASAが公開


太陽系の第7惑星である天王星には土星や木星と同様に環が存在しており、赤道傾斜角が98度とほぼ横向きの状態で公転するという特徴があります。そんな天王星の環を、超高性能宇宙望遠鏡のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で撮影した新たな画像をNASAが公開しました。

NASA's Webb Rings in the Holidays with the Ringed Planet Uranus | Webb
https://webbtelescope.org/contents/news-releases/2023/news-2023-150


The rings of Uranus look positively festive in epic James Webb Space Telescope holiday photo | Space
https://www.space.com/uranus-rings-james-webb-space-telescope-holiday-photo

Webb telescope’s new portrait showcases Uranus’ mysterious features | CNN
https://edition.cnn.com/2023/12/19/world/webb-uranus-rings-polar-cap-scn/index.html

天王星は太陽を公転する軌道に対する赤道面の角度(赤道傾斜角)が98度という珍しい惑星で、太陽に向かって横倒しになったような状態で公転しています。なお、地球の赤道傾斜角は23.4度であり、太陽に向かってやや斜めを向いて公転している状態です。また、天王星の公転周期は84年であるため、地球の北極や南極に相当する2つの極冠では昼と夜がそれぞれ42年間続きます。

そんな天王星には、土星や木星のような環があることもわかっており、自転軸が横倒しになっているため夏至あるいは冬至には天王星の環が真っすぐ太陽の方に向きます。これは土星や木星にはみられない、天王星に特異な現象です。

2028年には天王星が夏至を迎えるため、記事作成時点でも天王星の環はほぼ太陽に向かって真っすぐになっており、太陽に近い地球からは天王星の環がこちらを向いているように見えます。そこでNASAは2023年4月に、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線カメラで天王星の環を撮影しました。4月に撮影された画像が以下で、1.4ミクロンと3.0ミクロンの2つのフィルターを用いており、青色とオレンジ色のツートンカラーで表示されています。


そして2023年12月、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が新たに2.1ミクロンと4.6ミクロンの波長を追加して、より詳細に撮影した天王星の画像をNASAが公開しました。

以下が最新の天王星の画像で、複数存在する天王星の環の中でも暗い外側や内側のものまで確認できるほか、環に重なった小さくて暗い衛星の姿なども見ることができます。また、ガス惑星である天王星のぼやけた極冠が低緯度になるに従って濃い色となっていることや、明るく白い点に見える嵐が出現していることもわかります。


さらに視野を広げた画像では、天王星から離れて青く光っている主要な衛星の姿も確認できました。


NASAは、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の比類なき赤外線解像度と感度により、天文学者らは天王星とそのユニークな特徴を、画期的な明瞭さで見ることができるようになりました。これらの詳細、特に天王星に近いゼータ環の細部は、将来の天王星ミッションを計画する上で非常に重要です。天王星は、過去数十年間に発見された約2000個の同じような大きさの太陽系外惑星を研究するための代理としても機能します。この『裏庭にある系外惑星』は、このサイズの惑星がどのように機能し、どのような気象であり、どのように形成されたのかを天文学者らが理解するのに役立ちます。また、より大きな文脈の中に太陽系を位置づけることで、天王星の研究は太陽系全体を理解する上でも役立ちます」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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