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Adobeが規制当局の承認を得られずFigmaの買収を断念、10億ドルの契約解除料をFigmaに支払う予定


Adobeが200億ドル(約2兆8000億円)でデザイン管理ツール「Figma」の買収を計画していた件について、EUやイギリスの規制当局からの承認が得られないことを理由に買収を断念したことを明らかにしました。

Adobe - Adobe and Figma Mutually Agree to Terminate Merger Agreement
https://news.adobe.com/news/news-details/2023/Adobe-and-Figma-Mutually-Agree-to-Terminate-Merger-Agreement/default.aspx


Figma and Adobe are abandoning our proposed merger | Figma Blog
https://www.figma.com/ja/blog/figma-adobe-abandon-proposed-merger/


Adobe gives up on $20 billion acquisition of Figma | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/12/adobe-gives-up-on-20-billion-acquisition-of-figma/

2022年9月、AdobeはFigmaを200億ドルで買収することを発表しました。Adobeはデザインツール「Adobe XD」を開発しており、Figmaはその競合相手でした。Figmaのプロダクト部門責任者であるユーキ・ヤマシタ氏は「Figmaのブランドは変わらず残ります。皆さんにとっても何も変化はありません」と述べており、買収してもFigmaブランドは残る予定とされていました。

Adobeが2兆円超えでデザインツール「Figma」を買収、Figmaブランドは存続の予定 - GIGAZINE


しかし、AdobeによるFigma買収はデザイン業界においてAdobeによるほぼ一強状態を生んでしまうという批判もありました。そして、アメリカ司法省が独占禁止法違反の疑いで訴訟を準備していることが2023年2月に報じられています。また、2023年7月にEUの規制当局が調査を実施し、その結果から2023年11月に訴訟を起こす予定であることも明らかとなりました。

Adobeによる3兆円規模のFigma買収についてEUの規制当局が独占禁止法違反で訴訟を起こす予定だと判明 - GIGAZINE


欧州委員会の競争担当委員であるマルグレーテ・ヴェステアー氏は「AdobeとFigmaが合併することで、両社間の競争はすべて終了し、将来の競争もすべて阻止されることになります。私たちの綿密な調査により、AdobeによるFigmaの買収が価格の上昇、品質の低下、顧客の選択肢の減少につながることが示されました」と述べています。

さらに2023年11月29日、イギリスの競争・市場庁(CMA)が「AdobeによるFigmaの買収は市場競争を妨げる恐れがある」という調査結果を発表。Adobeは、CMAの調査結果について、「証拠の収集と評価において非合理的なアプローチが取られ、法と事実の重大な誤りが含まれている」と主張しています。また、Adobeは「Creative CloudパッケージにFigmaを入れない」「競合のAdobe XDを売却」といった買収を実現させるための妥協案を規制当局に提案していました。

Figma買収を狙うAdobeが「Creative CloudパッケージにFigmaを入れない」「競合のAdobe XDを売却」などを規制当局に提案との報道 - GIGAZINE


しかし、Adobeは2023年12月18日付けで、「AdobeとFigmaは2022年9月15日に発表された合併契約を終了する相互合意を締結したと発表しました」と述べ、Figmaの買収を断念したことを明らかにしました。

Adobeのシャンタヌ・ナラヤンCEO兼会長は「AdobeとFigmaは、規制当局の調査結果に強く同意しませんが、独立して前進することがそれぞれの最善の利益になると信じています。AdobeとFigmaは創造性と生産性の未来を共に再定義するというビジョンを共有しましたが、我々は今後もパースナライズされたデジタル体験を通じて世界を変えるという巨大な市場機会と使命を活用する有利な立場にあり続けます」とコメントしています。


また、Figmaの共同創設者であるディラン・フィールドCEOは「規制当局による審査プロセスが開始されてから15カ月が経過し、Figma とAdob​​eは当社の買収提案を規制当局が承認する道筋が見えなくなりました」と報告し、「将来がどうなるかとても楽しみですし、私たちを支えてくれているコミュニティには、感謝の念に堪えません。Figmaの最高で革新的な日々は、まだまだ続きます。2024年にお会いしましょう!」というコメントを発表しました。

なお、AdobeはFigmaとの契約にある通り、10億ドル(約1400億円)の契約解除料をFigmaに支払う予定です。

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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