ハードウェア

中国が新たな国産次世代CPU「Loongson 3A6000」をリリース、IntelのCore i5-14600Kに匹敵か


中国の半導体企業であるLoongson(龍芯)が、次世代CPUである「3A6000」を2023年11月28日に発表しました。Loongsonは「3A6000は世界の主流製品に匹敵するCPUで、中国が国産CPUの設計において新たな突破口を開くきっかけになる」とコメントしています。

China's Loongson 3A6000 CPU Reaches Core i5-14600K Performance In Clock-To-Clock Test, Overclocked To 3 GHz
https://wccftech.com/china-loongson-3a6000-cpu-reaches-core-i5-14600k-performance-clock-to-clock-test-overclocked-to-3-ghz/


Loongson releases next-generation CPU
https://www.ecns.cn/news/sci-tech/2023-11-29/detail-ihcvixpi0428703.shtml


Loongsonの3A6000は、命令セットアーキテクチャ(ISA)に第4世代LoongArchを採用し、12nmの製造プロセス採用の4コア・8スレッド設計で、動作周波数は2.5GHzだとのこと。

以下の棒グラフはCPUベンチマークスイートのSPEC CPU 2006で、3A6000と前世代の3A5000、IntelのCore i3-10100で整数演算(赤)と浮動小数点演算(黄)のシングルコア性能を比較した結果。3A6000のピーク周波数は2.5GHzであるのに対して、Core i3-10100は4.5GHzですが、スコアはほぼ同等の結果となっています。


上記と同じベンチマークで、マルチコア性能を比較した結果が以下。


3A6000と同じ動作周波数2.5GHzで、Intel Core i3-10100とCore i5-14600Kを動作させてシングルコア性能を比較すると、整数演算ではなんと3A6000が最も良い結果を叩き出し、浮動小数点演算でも第14世代Core i5と並ぶ結果に。


中国工業省職員のShi Huikang氏は「今回の発表は、国産CPUが自給自足性と性能において新たな高みに到達したことを示しています。また、中国が独自のCPU設計で一流の製品を生産できることを示しました」と述べています。

アメリカ商務省は輸出管理規則を改正し、アメリカ企業が取引きできない外国企業のエンティティリストにLoongsonを登録しています。そのため、Loongsonはたとえ間接的であってもアメリカの技術を購入あるいはライセンス供与することができません。要するに、設計やISA、製造に必要な機械を含めてアメリカ製を使うことができないというわけです。

US blacklists China's Loongson as its CPUs reach maturity | TechSpot


アメリカ由来の技術や機械を使えないことから、Loongsonは独自のアーキテクチャに基づいた独自のCPUを設計し、独自のラインで生産する必要があります。今回の3A6000のリリースは、中国企業が大きな制限を受ける中で、IntelやAMDのような国外の半導体メーカーと競争する力を得ていることを示しているといえます。

Loongsonは3A6000搭載可能でDDR4をサポートしたマザーボードがASUSから登場すると告知しており、独自の製造だけではなく、3A6000を中心としたエコシステムも中国国内だけで整備していることをアピールしています。


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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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