384コア搭載の中国製高パフォーマンスCPU「Sunway SW26010 Pro」の詳細が公開される
スーパーコンピューター向けCPU「Sunway SW26010 Pro」の詳細スペックが公開されました。独自の64ビットRISCアーキテクチャに基づいた設計で、この新CPUにより、中国は国産プロセッサだけで高性能スーパーコンピュータを構築できるようになると期待されています。
China’s New(ish) SW26010-Pro Supercomputer at SC23 – Chips and Cheese
https://chipsandcheese.com/2023/11/20/chinas-newish-sw26010-pro-supercomputer-at-sc23/
China's secretive Sunway Pro CPU quadruples performance over its predecessor, allowing the supercomputer to hit exaflop speeds | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/supercomputers/chinas-secretive-sunway-pro-cpu-quadruples-performance-over-its-predecessor-allowing-the-supercomputer-supercomputer-to-hit-exaflop-speeds
スーパーコンピューターに関する国際会議「SC23」内にて公開された情報によると、SW26010 Proは384コア搭載、FP64の最大スループットは13.8TFLOPS、FP32の最大スループットは27.6TFLOPとなっています。このSW26010 Proは「新世代」のスーパーコンピューターに搭載されているとのこと。
SW26010 Proは前モデルの256コアCPU「Sunway SW26010」の基本的なアーキテクチャを維持しつつ、新しい独自の64ビットRISCアーキテクチャに基づいた6つのコアグループとプロトコル・プロセッシング・ユニットを搭載するなど、いくつかの機能向上を果たしています。ただコア数が多いだけでなく、マイクロアーキテクチャとシステムアーキテクチャの改善により、FP64計算スループットが4倍以上に向上。一方でキャッシュとメモリサブシステムに制約があり、ボトルネックとなっているとも指摘されています。
発表によると、人工知能の深層学習で主に用いられる単精度・半精度演算処理関連のベンチマーク「HPL-MxP」においてSW26010 Pro搭載のスーパーコンピューターはトップ2に位置し、HPC/CSCの「LUMI」や富士通の「富岳」に勝る性能を見せたとのこと。
全体として、SW26010 Proはメモリ容量や計算密度、全体的な性能の面でSW26010から大きく前進していますが、メモリの制約上最適化には時間とコストがかかるという欠点を抱えたCPUだとの評価を受けています。とはいえ、この新CPUの発展により、アメリカからの輸出規制に苦しむ中国が国産プロセッサだけでスーパーコンピュータを構築できるようになるのではないかともと期待されているとのことです。
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