Appleがゴールドマン・サックスとの提携を終了か、Apple Cardの将来は不透明に
Appleは世界的金融グループのゴールドマン・サックスと提携し、Apple Pay用のクレジットカード「Apple Card」や、Apple Card利用者向けの高利回り普通預金サービスなどを展開してきました。しかし、高利回り預金の業績が悪化したことで、ゴールドマン・サックス社内からは「撤退すべき」という声が出てきているという話が出たのに続いて、ウォール・ストリート・ジャーナルが「Appleがゴールドマン・サックスとの提携を終了することに決めた」と報じました。
Apple Pulls Plug on Goldman Credit-Card Partnership - WSJ
https://www.wsj.com/finance/banking/apple-pulls-plug-on-goldman-credit-card-partnership-ca1dfb45
Apple to end credit card partnership with Goldman Sachs - WSJ | Reuters
https://www.reuters.com/technology/apple-end-credit-card-partnership-with-goldman-sachs-wsj-2023-11-28/
Apple ending Apple Card partnership with Goldman Sachs - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2023/11/28/apple-ending-relationship-with-goldman-sachs-fate-of-apple-card-unclear/
Apple reportedly pulling plug on Goldman credit card partnership
https://nypost.com/2023/11/28/business/apple-reportedly-pulling-plug-on-goldman-credit-card-partnership/
Apple Cardの高利回り預金サービスに詳しい関係者によると、Appleは今後12~15カ月以内に提携契約を終了するという提案をゴールドマン・サックスに送った模様。両社の提携は、Appleとゴールドマン・サックスが2019年にスタートしたクレジットカードサービスのApple Cardや、2023年4月にスタートした高利回り預金サービスなどをカバーしてきたものです。
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Appleは独自のクレジットカードサービスであるApple Card向けに新しい提携企業を探しているのか、それともApple Cardそのものを終了させる予定なのかは不明です。なお、Appleとゴールドマン・サックスの提携は2022年に2029年まで延長されたばかりであるため、ウォール・ストリート・ジャーナルは「急な方針転換があったことがわかる」と指摘しています。
Appleは2023年4月に発表したApple Card利用者向けの高利回り預金サービスで、サービス開始4日で1300億円超の預金を集めるという好調なスタートを切りました。しかし、利用者からは「送金するのに数週間かかった」などの苦情が多数寄せられており、ゴールドマン・サックス社内から高利回り預金サービスから撤退すべきとの声が上がっていると報じられました。
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なお、ゴールドマン・サックスは2023年初頭にもAppleとの提携関係を解消することを検討していたそうで、実際、その旨をApple側に伝えていた模様。ゴールドマン・サックスはAppleと提携して構築してきたApple Card事業を大手クレジットカード企業であるアメリカン・エキスプレスに譲渡するべく協議したこともあるそうです。アメリカン・エキスプレスはApple Cardプログラムのいくつかの側面について懸念を表明していたそうですが、この協議が記事作成時点でも続けられているのか否かは不明です。
一部の関係者によると、アメリカの金融サービス会社であるSynchrony FinancialもApple Card事業の引き継ぎを検討しているそうです。Synchrony Financialはアメリカ最大の店舗用クレジットカード発行会社であり、信用スコアの低い消費者を含む幅広い消費者に融資を行っています。なお、Synchrony Financialは長年にわたりハイテク企業と密接な関係を持っており、パートナー企業にAmazonやPayPalが名を連ねています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、iPhoneの売上が伸び悩む中で、Appleはますますサービス事業に依存していると指摘。2023年第3四半期(7~9月)の数字を見ると、Appleの全体の売上は前年同期比で1%減ですが、サービス事業の売上は前年同期比で16%増加しています。このうち、Apple Card関連事業の収益はサービス事業の収益のごく一部にすぎないとみられます。
なお、ゴールドマン・サックスにとってAppleとの提携終了は大企業や投資家、超富裕層にサービスを提供するというこれまでの事業を超え、ビジネスを多角化していくという同社の目論見が失敗に終わったことを意味します。
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