サイエンス

宇宙戦争ではどのような戦いが繰り広げられるのか?


もし宇宙人が地球に攻めてきた場合、宇宙人を見つけることができていない地球人より数段高度な文明を持った相手が、高度な能力で攻撃してくることになるはず。そのような「実際に星間戦争が起きたら、どのような攻撃が行われるのか?」という疑問について、科学や学説についてアニメーションで解説するYouTubeチャンネルのKurzgesagtがまとめています。

How to Win an Interstellar War - YouTube


エイリアンが何光年も離れたところから地球を破壊する可能性を考えた時、「光年の距離が離れた文明同士はどのように戦争を行うのか?」「星間戦争ではどのような破壊兵器が使用されるのか?」などの疑問が発生します。


そこでKurzgesagtは、戦争を行うプレイヤーを「人類」と架空の宇宙人「スモーピアン」の2者と仮定しています。


人類は、宇宙史で言うと「ごく最近」において、ロケットや原子炉の開発をスタートさせました。


スモーピアンは地球から42光年離れた恒星「HD 40307」の周囲で発見された、居住可能な可能性がある惑星にいると仮定した架空の宇宙人です。


スモーピアンは地球文明より圧倒的に優れた発展をしており、最近になって恒星の周りにダイソン球を設置し、ほぼ無限に近いエネルギーを獲得しました。


そして、その科学技術とエネルギーを使って、ついに太陽系とその中で文明を築く地球を発見します。


宇宙全体を支配したいと考えるスモーピアンが地球を攻撃しようとした場合、仮に光の速さに近いロケットや兵器を発射したとしても、攻撃が完了するまで数十年から数世紀かかります。そして、その攻撃が成功したかどうかの情報が送られるまでにさらに時間が必要で、その後侵略艦隊を送るとしたらさらに数十年から数世紀と、途方もない時間がかかります。


そのため、スモーピアンは侵略戦争ではなく、一撃で全てを完全に破壊する兵器を構築する可能性が高くなります。


星間戦争に使用できる兵器として、現実に存在する技術や理論の延長として実行可能な「星間レーザー」「相対論的ミサイル」「超相対論的電子ビーム」の3つをKurzgesagtが挙げて、それぞれどのような特徴を持つのかを解説しています。


まず星間レーザーを考えた時、人類も使用できる可能性がありますが、スモーピアンの方が圧倒的なアドバンテージを持っています。スモーピアンはダイソン球により膨大なエネルギーを獲得しており、それは地球人類が生成する全てのエネルギーの500億倍と考えられます。レーザーは大きくなるほど射程が長くなるため、ダイソン球からエネルギーを得たスモーピアンの星間レーザーは数十年かけて地球に届き、瞬く間に人類を絶滅させます。


スモーピアンの星間レーザーは、ダイソン球に沿う形で衛星を設置し、そこから出たレーザーを束ねるようにして大きなレーザーを形成します。理論上は、スモーピアンの星間レーザーは200万光年以上の距離から照準を定めて対象を消し去ることが可能です。


Kurzgesagtが第2の可能性として示している兵器の相対論的ミサイルは、ダイソン球のエネルギーをレーザーに変換し、それをミサイル発射のエネルギーとして使用するもの。ミサイルは可能な限り光速に近い速度まで達し、反物質を搭載してガンマ線とプラズマをまき散らす驚異的な兵器となります。


相対論的ミサイルは地球にある世界最高峰のビルよりも大きく、下部はベル型で磁気をコントロールする設計になっています。ミサイルの先端には人間大ほどの発射物がありますが、その先にはさらに発射物を保護するためのシールドが何層にも設置されています。


相対論的ミサイルは一度にいくつも発射され、当初はゆったりとして見えますが、反物質エンジンが点灯したら光速の99.999996%まで一気に加速します。


スモーピアンが発射した相対論的ミサイルは42年かけて地球に到達します。光の方がわずかに速いため、発射の際の光を地球で先に観測することができますが、光を確認してから数日後にはミサイルが地球を襲うことになります。


相対論的ミサイルは一発着弾すればよく、大気圏に衝突したミサイルは強烈な青い光を放ち、その後大陸サイズの火の玉が地表に降り注ぎます。抵抗がない宇宙ではほぼ無限の射程を持つと考えられる相対論的ミサイルは強力で有用ですが、作るのにスモーピアンの文明をもってしてもかなり手間がかかるほか、星間レーザーに比べて精度が少し落ちると考えられます。


そこで考えられるのが、3つ目の兵器となる超相対論的電子ビームです。


食品から細菌を除去する方法として、電子ビームが用いられることがあります。電子ビームは食品を燃やすほどのエネルギーはありませんが、細菌にとっては致命的な攻撃となります。


スモーピアンはこれを応用して、より大きな電子ビームを用いる可能性があります。通常の電子ビームはすぐに拡散して無害になるため、スモーピアンは42光年という距離をカバーするべく、相対論を応用した電子ビームを構築します。


超相対論的電子ビームは、電子を相対論的ミサイル以上に限りなく光速まで近づけることで、「ものの速度が光速に近づくと、周囲よりも時間の進み方が遅くなる」という相対性理論を利用します。


結果として、「ゆっくり進む電子ビームに、超光速で動く地球が自分からあたりにくる」というような状態になる物理トリックが使用されます。これにより、星間距離を横切りながらも的に命中させることができるとのこと。


地球に到達した電子ビームは、星間レーザーのように地球ごと焼き尽くすこともなければ、相対論的ミサイルのように大規模な爆発や炎上を引き起こすこともありません。しかし、人類のDNAを破壊し、細胞を死滅させ、的確に絶滅へと導きます。電子ビームは非常に高い蓄積力と貫通力を持っているため、深い地下壕に隠れたとしても、数日から数週間かけて致死量に達すると考えられます。


星間戦争の兵器に共通する大きな欠点は、それを使用する際に他の星にも届くほどの大きな光や痕跡が発せられることから、「他の星を攻撃する危険な種が宇宙にここにいる」と宇宙全体に知らせる行為になることです。そのため、仮にスモーピアンが存在していたとしても、比較的静かに潜んで地球人類を観察するだけでとどめる可能性も高いとKurzgesagtは指摘しています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1e_dh

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