「GoogleがSonosの特許を侵害している」という判決が破棄されGoogleのスマートスピーカーの機能が速攻で復活
Google HomeやGoogle Nestなどの複数のスマートスピーカーを展開するGoogleは、同じスマートスピーカー市場でしのぎを削るSonosと法廷闘争を繰り広げています。そんな中、「GoogleがSonosの特許を侵害した」とする判決が裁判官により破棄されたため、Googleが削除せざるを得なかったスマートスピーカー機能が復活を果たしました。
Google brings back multiple Speaker Groups, Sonos patent invalidated
https://9to5google.com/2023/10/10/sonos-google-speaker-groups/
Google wins reprieve from $32.5 mln verdict in Sonos patent fight | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/google-wins-reprieve-325-mln-verdict-sonos-patent-fight-2023-10-09/
Federal judge throws out $32.5 million win for Sonos against Google | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/10/10/federal-judge-throws-out-32-5-million-win-for-sonos-against-google/
Judge Slams Sonos, Rules Patents Invalid in Google Speaker Case
https://news.bloomberglaw.com/us-law-week/judge-slams-sonos-rules-patents-invalid-in-google-speaker-case
Judge tosses Sonos's $32.5M patent win against Google • The Register
https://www.theregister.com/2023/10/10/judge_sonos_google_patent/
事の発端となったのは、家電機器メーカーのSonosがGoogleを「スマートスピーカーの設計に関する5件の特許を侵害した」として提訴したことにさかのぼります。この訴訟でGoogleは敗訴し、国際貿易委員会もGoogleはSonosの特許を侵害していると判断したため、Google製のスマートスピーカーから音量調整機能などのSonosの特許を侵害するとされる機能が削除されました。
Google製スマートスピーカーから音量調節機能が削除されて非難殺到中、Pixelなど他のデバイスへの影響は? - GIGAZINE
その後も法廷闘争は続いており、2023年5月にはGoogleが「Sonosのマルチスピーカー機能に関する特許を侵害している」として、3250万ドル(約48億円)の損害賠償金の支払いを命じられました。この陪審評決により、Googleはスピーカーグループ作成機能に制限を課さざるを得なくなっていました。しかし、この評決をカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所の連邦判事であるウィリアム・アルサップ判事が破棄したことが明らかになっています。
アルサップ判事は問題のSonosが保有する2件(10848885と10469966)の特許について独自に調査を行い、これらに法的強制力がないと結論付けました。この決定について、アルサップ判事は「Sonosが特許出願と特許侵害のクレームを提出する5年前の2014年時点で、特許侵害を犯したと告発されているGoogleは、発明に関する機能を製品に展開する計画をSonosと共有していました。その後、Googleは発明を実現するための独自の機能を導入開始しています。それに対して、Sonosは発明に関する請求項の提出を2019年まで行っておらず、自社製品に発明に関連する機能を展開するのには2020年までかかっています」と指摘。さらに、「これは発明家が業界を変化させる新しいものを生み出したという事例ではありません。今回の事例は、業界で何か新しいものが誕生した際に、その発明家と主張する人がどこからともなく現れ、『それは自分のアイデアだ』と主張するという、古くから特許関連で見られる事例のひとつです」と説明しています。
今回の判決を受け、Sonosは控訴する予定だとロイターは報じました。
一方で、Googleは自社ブログやコミュニティ上で今回の判決に関するメッセージを発信しています。
Googleの公式ブログ上で、同社の法務顧問を務めるハリマ・デレイン・プラド氏は「Sonosは偽の特許を根拠にGoogle Homeデバイスや、スマートスピーカーの便利な機能に対して誤解を招くキャンペーンを何年にもわたって展開してきました」「今回の判決は、Sonosの特許は無効であり、そもそも付与されるべきではなかったという意味であり、法的強制力もないと述べ、Googleが最初に独自の技術を開発していたことを認めるものです」と述べ、Google有利の判決が下されたことをアピールしています。加えて、イノベーションを促進しながら発明者を保護するために「特許制度には改革が必要不可欠」と述べています。
Update on Sonos’ misleading patent campaign
https://blog.google/outreach-initiatives/public-policy/google-home-sonos-patent-update/
GoogleのスマートホームデバイスであるGoogle Nestのコミュニティに向けたブログも更新されており、コミュニティマネージャーが「最近、Nestスピーカーやディスプレイ、Chromecastのスピーカーグループに変更を加えました。これにより、特定のデバイスはGoogle Homeアプリで一度にひとつのスピーカーグループにのみ所属できるようになっていました。しかし、連邦判事が『Googleのデバイスが特許を侵害している』と主張するSonosの特許2件が無効であるとの判決を下しました。この判決を踏まえ、Googleデバイスは複数のスピーカーグループに所属できるようになり、デバイスを追加のグループに追加しようとしてもエラーが発生することがなくなります。このアップデートは直ちに展開されており、今後48時間以内にデバイスとAndroidのホームアプリ全体で公開される予定です。また、この変更はiOS版のホームアプリにも間もなく適用される予定です」と述べ、判決を受けて削除した機能を直ちに復元していることを明かしました。
Update regarding recent changes to speaker groups ... - Google Nest Community
https://www.googlenestcommunity.com/t5/Blog/Update-regarding-recent-changes-to-speaker-groups-for-Nest-speakers/ba-p/489728
なお、Google公式ヘルプのスピーカーグループの作成・管理に関するページには、以下のデバイスはGoogle Homeアプリで一度に1つのスピーカーグループにしか追加できないと明記されているため、これらのデバイスで2つ目以降のスピーカーグループに参加することができるようになるものと思われます。
・Google Nest Mini(第2世代)
・Google Nest Audio
・Chromecast with Google TV(4K)
・Chromecast with Google TV(HD)
・Google Nest Hub(第2世代)
・Google Nest Hub Max
・Google Nest Wifi 拡張ポイント
・Google Pixel Tablet(ハブモード)
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