映画批評サイト「Rotten Tomatoes」でPR会社が金銭を支払って肯定的評価を書かせていたとの報道
大手映画批評サイトの「Rotten Tomatoes」では、一般のユーザーや映画評論家からのレビューを元に映画やテレビ番組に対してスコアを付けています。しかし、一部のPR会社がユーザーに金銭を支払ってRotten Tomatoesに肯定的なレビューを投稿するように働きかけていた可能性が報じられています。
Rotten Tomatoes Still Has Hollywood in Its Grip
https://www.vulture.com/article/rotten-tomatoes-movie-rating.html
PR Company Accused of Paying Critics for Fresh Rotten Tomatoes Scores
https://www.comingsoon.net/movies/news/1334412-pr-company-accused-of-paying-critics-for-fresh-rotten-tomatoes-scores
Ophelia PR Firm Manipulated Film's Rotten Tomatoes Score
https://www.thewrap.com/ophelia-pr-film-manipulated-rotten-tomatoes-score/
Report: PR Firm Has Been Paying Rotten Tomatoes Critics For Positive Reviews
https://www.screengeek.net/2023/09/06/rotten-tomatoes-pr-firm-paying-critics-positive-reviews/
映画批評サイトのRotten Tomatoesでは、全レビューのうち肯定的なレビューの割合が60%を下回る作品は「Rotten(腐敗)」、60%以上の肯定的なレビューを獲得した作品は「Fresh(新鮮)」との評価が付けられます。またFreshの中でも、総レビュー数が80件を超え、肯定的なレビューが70%以上で、著名な映画評論家(Top Critics)からの批評が5つ以上ある、という条件を満たした作品には、「Certified Fresh」というお墨付きが与えられます。
2018年に公開された映画「オフィーリア 奪われた王国」は公開当初、13件の全レビューのうち肯定的なレビューはわずか約46%だったため、「Rotten」の評価が下されました。
「オフィーリア 奪われた王国」が「Rotten」という厳しい評価を受けたことを受けて映画広報会社の「Bunker15」は、「オフィーリア 奪われた王国」の公開から数カ月後に1件当たり50ドル(約7300円)で肯定的なレビューを投稿するユーザーを募集したとのこと。またBunker15は否定的なレビューを行ったユーザーに対して肯定的なレビューに書き換えるよう働きかけたとされています。
Bunker15による働きかけの結果、「オフィーリア 奪われた王国」の肯定的なレビューの割合は約62%に跳ね上がり、「Fresh」の評価を獲得しました。その後、「オフィーリア 奪われた王国」をアメリカの映画配給会社「IFC Films」が買取っています。
Bunker15は同社が作品の評価を意図的に上げるため行動を起こしたことを否定。Bunker15の創設者であるダニエル・ハーロウ氏は「私たちのリストには何千人ものライターが名を連ねています。しかしごくわずかなライターに対して映画制作者がスポンサーになったり、金銭を支払ってレビューを書いてもらったりする特定のシステムを作っている可能性があります」と述べています。
もちろん、Rotten Tomatoesでは「金銭的インセンティブに基づくレビューの投稿」が利用規約で禁止されています。映画監督のポール・シュレイダー氏は「昔と違い、ユーザーはレビューをいちいち読まず評価だけを見て判断する愚かな観客になっています。その結果、一部のPR会社によってRotten Tomatoesのシステムは壊れてしまいました」と批判しています。
海外メディアのVultureはこの件をRotten Tomatoesに報告。報告を受けてRotten Tomatoesは「オフィーリア 奪われた王国」を含むBunker15が手がける作品数点の掲載を取り下げました。またRotten TomatoesはBunker15の作品を定期的にレビューしているユーザーに対して「私たちはスコアの信頼性を重視しています。その信頼性を揺るがすようないかなる試みも私たちは容認していません。Rotten Tomatoesには、プラットフォームを定期的に監視し、不正操作の疑いがあるアクティビティを徹底的に調査し、解決する専門チームが存在しています」と警告しています。
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