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IBMがAIを活用してCOBOL言語をJavaに変換するツール「Watsonx Code Assistant for Z」をリリースすることを発表


1959年に開発されたプログラミング言語「COBOL」は、自然言語に近いコマンド構文が採用されていることから、金額計算などの事務処理用に広く使われてきました。一方でCOBOLは「非効率的な言語」と指摘されることがあります。2023年8月22日にIBMが発表した「Watsonx Code Assistant for Z」では、コード生成AIモデルを使用してCOBOL言語で書かれたコードをJavaに変換することが可能です。

IBM Unveils watsonx Generative AI Capabilities to Accelerate Mainframe Application Modernization
https://newsroom.ibm.com/2023-08-22-IBM-Unveils-watsonx-Generative-AI-Capabilities-to-Accelerate-Mainframe-Application-Modernization


IBM watsonx launches COBOL to Java generative AI coding tools | Constellation Research Inc.
https://www.constellationr.com/blog-news/insights/ibm-watsonx-launches-cobol-java-generative-ai-coding-tools


IBM launches generative AI tool to help modernize mainframe software
https://betanews.com/2023/08/22/ibm-launches-generative-ai-tool-to-help-modernize-mainframe-software/

IBM taps AI to translate COBOL code to Java | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/08/22/ibm-taps-ai-to-translate-cobol-code-to-java/

海外メディア・The Stackによる2022年の調査では、本番環境に使用されているCOBOLの行数は世界中で8000億行を超えているとのこと。一方でCOBOLには専門家が少なく、COBOLで書かれたコードをJavaなどの新しいプログラミング言語に移行する際にはとてつもない労力や費用がかかることが報告されています。

しかし、2023年8月22日にIBMが発表した「Watsonx Code Assistant for Z」では、AIを用いてCOBOLで書かれたコードをエンタープライズなJavaに自然に変換することが可能です。

IBM Resarchのチーフサイエンティストであるルチル・プリ氏は「Watsonx Code Assistant for Zは、コード変換に加えて、古いコードで書かれたアプリケーションを最新のシステムに置き換える作業をサポートします。また、開発者は最新のアーキテクチャで翻訳されたコードを理解、再検証、変換することにWatsonx Code Assistant for Zを役立てることが可能です」と述べています。


プリ氏によるとWatsonx Code Assistant for Zは、1.5兆個ものトークンを用いてトレーニングされ、115のコーディング言語の知識を持っているIBMの「watsonx.ai」によって強化されているとのこと。また、約80の異なるプログラミング言語を理解できるIBMの大規模データセット「CodeNet」を用いての強化も行われています。

記事作成時点では、COBOLをJava構文に変換するためのツールやアプリ、サービスは「Amazon CodeWhisperer」をはじめとして多数リリースされています。しかしプリ氏は「他のライバル製品と異なり、Watsonx Code Assistant for Zは、変換コストを削減しつつ、保守が容易なコードを生成しながらもCOBOLの便利な機能を犠牲にしないための措置を講じています」と主張しています。


さらに、プリ氏は「Watsonx Code Assistant for Zは、COBOLとJavaのサービスを組み合わせて使用できるように構築されています」と述べ「システムの『理解』や『再設計』に関わる機能において、アプリケーション内の特定のサービスをCOBOLで維持する必要がある場合、そのサービスを除いて他のサービスがJavaに変換されます」と説明しています。

IBMのソフトウェア製品管理および成長担当シニアバイスプレジデントであるカリーム・ユスフ氏は「Watsonx Code Assistant for Zを導入することで、最適化されたコードを迅速かつ正確に変換し、アプリケーションの市場投入までの時間を大幅に短縮することが可能です。また、Watsonx Code Assistant for Zでは、固有のパフォーマンスや回復力、およびセキュリティを維持しつつアプリケーションを強化し、新たな機能を追加することができます」と述べています。


一方でコード生成AIには、生成されたコードに脆弱(ぜいじゃく)性を引き起こすコードを含む可能性が指摘されています。そのためプリ氏は、Watsonx Code Assistant for Zで生成されたコードを、人間のエンジニアが検証する前に本番環境にデプロイしないことを推奨しています。また、プリ氏は「他のAIシステムと同様に、企業のCOBOL言語で記述されたアプリケーションには、Watsonx Code Assistant for Zがまだ習得していない独自のパターンが含まれている可能性があります」と述べています。

Watsonx Code Assistant for Zは2023年第4四半期に一般ユーザーに向けて提供される予定です。

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in ソフトウェア, Posted by log1r_ut

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