修理可能なAirPods Pro充電ケースを自作しオープンソース化した猛者が現れる

iPhoneをUSB Type-Cポートに換装したハードウェアハッカーのExploring the SimulationことKen Pillonel氏が、ユーザーの手で修理可能なAirPods Pro用の充電ケースを自作しオープンソース化しました。

Man open-sources the self-repairable AirPods Pro case that Apple won’t make
https://arstechnica.com/gadgets/2023/07/man-open-sources-the-self-repairable-airpods-pro-case-that-apple-wont-make/

USB-C iPhone modder makes AirPods case battery easier to replace - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/26/23808180/airpods-pro-mod-iphone-usb-c-battery-replacement

I STOLE the AirPods Design, and improved it! (+ free download) - YouTube

Pillonel氏が作成した簡単に分解・修理が可能なAirPods Pro用充電ケースは、純正の充電ケースをバラバラに分解し、白色の筐体部分を3Dプリンターで出力した自作のものに置き換えたものです。基本的に内部の電子機器やヒンジなどは純正のAirPods Proのものをそのまま利用しています。

なぜ修理が容易になるのかというと、接着剤の代わりにネジとナットで必要なパーツを固定しているためです。

Pillonel氏は「オリジナル充電ケースの主な難点は、白色のプラスチック筐体部分を分解するのが難しい点にあります。基本的に、筐体部分は接着剤でベタベタに固められているため、分解しようとすればほとんどの場合、ケースは永久に変形してしまうことになるでしょう」とArsTechnicaに語っています。

充電ケースの筐体をレーザーマーキングマシンやデジタルカメラ、デジタルノギスなどで正確に測定。

そして各パーツの3Dモデルを作成。

3Dプリンターで各パーツを出力。

生成されたパーツはこんな感じ。

ケース用パーツにはナットを収納するスペースと、ネジを通すための穴が設けられています。これにより、各パーツをネジとナットで固定することが可能。

あとは、AirPods Proケースのヒンジや電子部品パーツを使って組み上げるのみ。

Pillonel氏はThe Vergeのインタビューで、自作充電ケースでも接着剤を少量使用していることを明かしています。接着剤は磁石を固定するために使っているそうで、「Appleのコンクリートのような感触の緑色の接着剤とは異なり、自作充電ケースではアセトンに浸すことで簡単にはがすことができるシアノアクリレート接着剤を使用しています」と説明しました。

Pillonel氏は第1世代AirPods Proの充電ケースを自作していますが、その理由を「AirPods Proの充電ケースをUSB-C対応に改造した際の知見があり、ゼロから新しくあらゆるコンポーネントをモデリングする必要がなかったため」と説明しています。

Pillonel氏は「他のモデルでも同じように修理が容易になるように充電ケースを改造する予定はありません。他のモデルの筐体をモデリングするだけですが、すでに今回のケースで修理可能性は大幅に向上しているためです。それよりも、AirPods本体を自身の手で修理できるようにする予定です」とも語っています。ただし、AirPods本体を誰でも手軽に修理できるように改造するのは非常に難しいそうで、その理由をPillonel氏は「イヤホンが非常に小さく、利用可能なツールが少ないせい」と説明しています。

なお、Pillonel氏は自作充電ケースを作成するのに使う各パーツのモデルデータをPatreon上で無料で公開しています。

Exploring the Simulation | Patreon
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