iPhoneをUSB Type-Cポートに換装した人物が手順を動画で公開
独自規格のLightningを使用しているiPhoneに、USB Type-Cポートを取り付けた人物が登場しました。ロボット工学専攻の学生だというKen Pillonel氏は、どのようにしてポート換装が成功したのかを紹介する動画を公開しています。
How the World's First USB-C iPhone was born - YouTube
iPhone gets USB-C thanks to creative robotics engineer | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/10/11/iphone-gets-usb-c-thanks-to-creative-robotics-engineer
You can now, technically, build your own USB-C iPhone - The Verge
https://www.theverge.com/2021/11/2/22759704/usb-c-iphone-hack-mod-open-source-github-repo-ken-pillonel-design-video
Pillonel氏が考えたアイデアは、LightningとUSB Type-Cをつなぐケーブルと、USB Type-Cのメスメス中継アダプタを小型化してiPhoneの中に仕込むというもの。
Pillonel氏が中継アダプタを自作しようと類似品を検索したところ、以下のようなアダプタを発見したため、これを確保しました。
Pillonel氏が次に行ったのは、LightningとUSB Type-Cをつなぐケーブルの導通チェック。テスターを使い、5本の信号線と24個の全てのピンで導通チェックを実施し、どの線がどのピンに対応しているのかを明確にしたとのこと。
次に行ったのはLightning側のケーブルのチェックでした。ケーブルの構造を解き明かすため、Pillonel氏はLightningケーブルの接続部をこじ開けようとしたのですが、「C91」と呼ばれるApple独自の構造は物理的に硬く、分解が困難でした。
そのため、Pillonel氏はサードパーティー製のLightningケーブルを購入。サードパーティー製のケーブルはAppleが「C94」という名前で提供する別の構造をとっており、解体がより簡単だったとのこと。Lightningケーブルから取り出した「PCB」と呼ばれる回路部が以下。
次のステップは、iPhoneに備わっているLightningポートだけを取り外し、PCBと直接ケーブルを接続するというもの。Lightningポート周辺のパーツは以下のような形をしていることが分かっていたので、Pillonel氏はこれを取り出す作業に入りました。
取り出されたものが以下。
実際にポートを取り外し、つなげた様子は以下の通りです。これで、iPhoneとPCB、PCBとUSB Type-C中継アダプタが接続されたことになります。以下の画像では中継アダプタが左右両側に付いていますが、本来機能するのは片方だけ。もう片方は取り外すことができるとPillonel氏は説明しています。
そして、Pillonel氏はC94のPCBをリバースエンジニアリングして回路図を作成し……
回路を自作。
iPhoneに接続しました。後はこの回路からケーブルを取り除き、iPhoneの中に設置するだけです。
Pillonel氏がiPhoneの中身を確認したところ、バッテリーとタプティックエンジンの間に小さな隙間があることを発見。
そのため、回路を限りなく薄くし、この隙間に配置することにしたとのこと。
そして、Pillonel氏が作り上げた回路が以下のもの。Pillonel氏は「ケーブルもなくなり、純正品のような見た目です」と自画自賛しています。
次の問題は、iPhoneのフレームにあるLightningポートを通す穴が、USB Type-Cポートを通すほどに大きくないということ。
単純にドリルで削るだけではガラスのフレームを砕いてしまう可能性があったため、別のパーツでiPhoneを挟んで力を分散させつつ、慎重に削ることでうまく行きました。
もう1つ、USB Type-Cケーブルを挿入した時に反対側から支える部品も作成しています。
最後に、Pillonel氏は作成した回路をiPhoneに以下のように取り付けました。赤い部分、緑の部分、青い部分をそれぞれ90度ずつ曲げることで、狭い隙間に回路を配置しています。
これでLightningポートをUSB Type-Cポートに換装する作業は完了です。
なお、Pillonel氏は回路図などをGithub上に公開しています。また、今回作成したiPhoneはオークションにかけられており、記事作成時点で4万9900ドル(約570万円)の値が付けられています。ただし、Pillonel氏は「購入した人は、電源をオンにしたり、修復したりといった日常使いはしてはならないことに留意してください」と注意書きしています。
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