おままごと向けオーブンをUSB Type-Cで給電できるように改造
by Colleen McMahon
アメリカで販売されているおままごと用のオーブン「イージーベイクオーブン」は、実際にクッキーなどを焼き上げられるオモチャ家電です。普段はエンジニアとして拡張現実(AR)用のハードウェアに取り組んでいるというジェイソン・セランドロさんは、そんなイージーベイクオーブンをコンセントではなくUSB Type-C接続で動作するように改造しました。
USB-C Easy Bake Oven — Reclaimer Labs
https://www.reclaimerlabs.com/blog/2017/3/14/usb-c-easy-bake-oven
セランドロさんが改造を行ったイージーベイクオーブンがこれ。おままごと向けのオーブンですが、パンケーキやクッキーなどを焼ける火力を出せるというアメリカ仕様のオモチャです。
Amazon | [イージーベイク]Easy Bake EasyBake Ultimate Oven, Black A8720S00 [並行輸入品] | クッキングトイ | おもちゃ
セランドロさんの目標とは、イージーベイクオーブンを一般家庭用のコンセントではなくUSB Type-Cで給電して動くようにすること。セランドロさんが手始めにこのイージーベイクオーブンを分解して構造を調べたところ、主電源・スイッチ・発熱部のニクロム線・ライト部というシンプルな構成になっていたとのこと。
セランドロさんによると、イージーベイクオーブンをUSB Type-Cに接続する第1の問題点は、「電圧」です。USB Type-Cが出力できる最大電圧は20Vですが、イージーベイクオーブンの主電源は120Vと6倍。電圧問題を解決するため、セランドロさんは発熱部分のニクロム線にワイヤー線を追加して、1本のニクロム線が回路上で6分割に並列化されるようにしました。
改造の結果、発熱部分の電圧は6分の1となり電圧問題は解決。なお、発熱部の抵抗は約36分の1、流れる電流は6倍になり、消費電力に変化はありませんでした。
最大の問題点をクリアしたセランドロさんは、USB Type-CコントローラのFUSB302とAdafruitのマイクロコントローラボード・METRO 328を給電部に接続して本体に接着し、抵抗器をより小さい抵抗のものに取り換えて、本来電源アダプタ接続部があった箇所にUSB Type-Cコネクタを備え付けました。
セランドロさんは新たに組み込んだ電子部品に最大許容電圧や最大電力の設定し、起動時に外装のライトを点灯させるなどの動作を実装するため、GoogleのChromebook用のオープンソースリポジトリを4000行ほど書き直したとのこと。こうして完成したUSB Type-C版イージーベイクオーブンをMacbook用の87W電源アダプターに接続して、スイッチをオンにしました。
結果、USB Type-C版イージーベイクオーブンは正常に動作し、15分強かけて約150℃まで温度が上昇。セランドロさんは生地をオーブンに投入して、見事にクッキーを焼き上げました。焼き上がったクッキーが以下。
イージーベイクオーブンで焼いたクッキーはおいしく食べられます。
セランドロさんは「プロジェクトは完全に成功した」と述べており、「なぜイージーベイクオーブンをUSB Type-Cに接続しようと思ったのですか?」という質問に対して、「『なぜ?』と質問されることが好きだからです」と回答しています。
・関連記事
動かなくなったMacBook Airをオーブンで焼くと完全にぶっ壊れることが改めて証明される - GIGAZINE
本物のパスタを使いながらも実際に稼働する「パスタPC」を実際に作ってみたムービーがYouTubeで公開される - GIGAZINE
巨大な爆炎を吹き出す金属製の「ヘヴィメタル仕様」なNINTENDO64を自作した猛者が登場 - GIGAZINE
Raspberry Piで自作したバーコードから自動で調理を行える電子レンジ - GIGAZINE
Amazon Alexaを使って音声操作の火炎放射器を実現した猛者が登場 - GIGAZINE
・関連コンテンツ