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Microsoftの新しいデフォルトフォントになった「Aptos」とは一体どんなフォントなのか?


Microsoftの標準フォントとして長らく活躍してきた「Calibri」に代わる新しいフォントとして、「Aptos」が登場しました。これに伴い、Word、Outlook、PowerPoint、ExcelといったOffice製品のデフォルトフォントがAptosに変更されることも明らかになっています。

A change of typeface: Microsoft’s new default font has arrived | by Microsoft Design | Jul, 2023 | Medium
https://medium.com/@MicrosoftDesign/a-change-of-typeface-microsofts-new-default-font-has-arrived-f200eb16718d


Meet Microsoft Office’s new default font: Aptos - The Verge
https://www.theverge.com/2023/7/13/23793428/microsoft-aptos-new-default-font-office-365

Microsoft Aptos is next Office default font
https://www.cnbc.com/2023/07/13/microsoft-aptos-is-the-next-office-default-font.html

MicrosoftはOffice 2007のリリースと共に、英字の標準フォントとして「Calibri」を採用してきました。しかし、フルHD(1920×1080ピクセル)の高解像度ディスプレイが当たり前になった現代では、Calibriは時代遅れのフォントになりつつあったため、これに代わる新しいフォントを模索していました。なお、MicrosoftはCalibriに代わるフォントの条件として、「鮮明さと均一性があり、表示に適したもの」を挙げていました。


そして、このCalibriに代わる新しい5種類のフォントを2021年に発表し、この中のいずれかを新しいデフォルトフォントにすると発表しました。Calibriに代わるMicrosoftの新しいデフォルトフォントの候補として挙げられたのは、Bierstadt、Grandview、Seaford、Skeena、Tenoriteという5つのフォントです。

Microsoftはユーザーからのフィードバックに耳を傾け、5つの候補の中から最も共感を呼んだ「Bierstadt」を新しいデフォルトフォントに選定しました。そして、正式にMicrosoftのデフォルトフォントに選ばれたことで、Bierstadtを「Aptos」に改名しています。


さらに、Microsoftは2023年7月14日に新しい英字のデフォルトフォントがAptosに決まったことに合わせて、Word、Outlook、PowerPoint、ExcelといったOffice製品のデフォルトフォントをAptosに変更することも発表しています。今後数カ月であらゆるユーザーのデフォルトフォントがAptosに変更されることとなる模様。

Aptosは世界有数の書体デザイナーのひとりであるSteve Matteson氏が作成したフォントです。Matteson氏が作成したフォントには、Microsoftが利用する書体のひとつである「Segoe」などがあります。フォントの名称がBierstadtからAptosに変更された理由は、カリフォルニア州サンタクルーズにあるMatteson氏お気に入りの町にちなんでだそうです。サンタクルーズのAptosにはビーチ、セコイアの木々、山々などカリフォルニア州の愛すべき要素が詰まっているそうで、これがAptosのフォントとしての多様性を象徴しているとMatteson氏は説明しています。

Matteson氏は人間味のあるフォントのデザインを目指し、「NPRのニュースキャスターとして親しまれたカール・カセルのような普遍的な魅力と、ザ・レイト・ショーの司会として知られるスティーブン・コルベアのような鋭い口調を併せ持ったフォントにしたい」と考えていたそうです。具体的には、「直線やエッジ、フレンチカーブ(均一な曲線を描くのに使用されるテンプレート)を使うだけでなく、RやGに少しの揺らぎを加えることで人間味を加えることでフォントデザインに人間味を忍び込ませました」とのこと。


20世紀半ばに登場したスイス発のタイポグラフィと同様に、Aptosはサンセリフです。サンセリフは文字の形が単純で、ストロークが含まれているケースが多く、読みやすいのが特徴。

Aptosはさまざまな幾何学的形状で構成されており、大胆かつ明確に定義されており、さまざまな言語や口調を表現するのに適しているそうです。ステムはきれいにカットされており、文字の輪郭内に円や正方形のスペースが確保されているため、特に小さなサイズでの可読性が向上しています。

他にも、数字の「1」を大文字の「I」と識別できるように、フォントの尾部を特徴づけており、他にも「i」と「j」の頭の部分は正方形ではなく円形の点を採用。数字の「6」はシングルストロークですが、楕円形を2つ重ねることで「8」にできるようにしています。


Microsoft Data PlatformのMVPであるCathrine Wilhelmsen氏は、「Times New RomanからCalibriにデフォルトフォントが切り替わった際のことを覚えています。当時、私はそれほど熱狂的なファンではありませんでしたが、それでも歓迎すべき変化だったことを覚えています。今回の変化?もうすでに気に入っています!私の内なるフォントオタクを幸せにしてくれます。私は常にBierstadtが好きだったので、新しいAptosの登場が待ちきれません」とツイートしています。


海外メディアのThe VergeはMicrosoftのデフォルトフォントを引退することとなったCalibriについて、2017年のパキスタン首相をめぐる汚職捜査の重要な証拠になったことがあり、2023年初頭にはアメリカの国務省が従業員にCalibriをメモに使用するよう指示したことなどを紹介しています。

なお、今回候補から外れたGrandview、Seaford、Skeena、Tenoriteおよび、Calibriは今後もOffice製品でフォントとして利用することが可能です。

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in ソフトウェア,   デザイン, Posted by logu_ii

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