サイエンス

南極の海氷面積が記録的な狭さに縮小、2023年4月以降は過去最少面積を更新し続けている


アメリカ海洋大気庁(NOAA)が2023年における南極の海氷面積が記録的な狭さになっていることを報告しました。NOAAは南極の海氷面積縮小が長期的な海洋および気候の変化と関連している可能性を示しています。

Antarctic sea ice reaches an early winter record low in June 2023 | NOAA Climate.gov
https://www.climate.gov/news-features/event-tracker/antarctic-sea-ice-reaches-early-winter-record-low-june-2023


以下の図は白色の部分が2023年6月27日の海氷範囲を示しており、黄色の線は1981年から2010年における海氷範囲の中央値を示しています。図を確認すると、2023年の海氷範囲はほとんどの部分で中央値より狭いことが分かります。


以下のグラフは衛星画像を分析して「海氷密度15%以上の南極海氷面積」をまとめたものです。南極の海氷は「夏に縮小し、冬に拡大する」というサイクルを繰り返しているのですが、2023年(青色の線)は冬になっても海氷面積の拡大が鈍く、「記録的な海氷面積の狭さを記録した2022年(赤色の線)」をさらに下回る面積を記録しています。


NOAAは公式Twitterアカウントで「南極の海氷は冬の成長期の最中ですが、この時期としては記録的な狭さを記録しています」と述べ、海氷の狭さを強調しています。


NOAAによると、北極では数十年にわたって海氷面積の縮小傾向が観察されていたものの、南極では長期的な縮小傾向は観察されていなかったとのこと。しかし、2016年以降は1981年から2010年の平均を大きく下回るようになり、2023年4月以降は過去の同じ時期における最少面積を連日更新しています。NOAAは「南極海氷面積の異常な推移は、海洋や気候の長期的な変化の始まりを示してる可能性があります。ただし、長期的な変化を明確にするには長い調査期間と情報が必要です」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
南極の厚さ900mの氷の下で未知の生物が発見される - GIGAZINE

南極に「ナンキョクグマ」はなぜいないのか? - GIGAZINE

南極の「終末の氷河」が5年以内に崩壊して海面が数メートル上昇する可能性 - GIGAZINE

南極で観測史上初めて最高気温が20℃を突破 - GIGAZINE

気候変動により南極沖で海底地滑りが起こり巨大な津波が発生して多くの人命が奪われる可能性 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.