サイエンス

南極の厚さ900mの氷の下で未知の生物が発見される


2021年2月15日、南極で調査を行っていたイギリス南極観測隊(BAS)が棚氷の下約1200mの海中で新種の生物を複数発見したと報告しました。生物は海綿動物を含む数cm程度の種で、このような過酷な環境下で生息する種は今までにほとんど発見されておらず、研究者たちは詳しい調査を開始するとしています。

Discovery of life beneath Antarctica’s ice shelves - British Antarctic Survey
https://www.bas.ac.uk/media-post/discovery-of-life-beneath-antarcticas-ice-shelves/

Frontiers | Breaking All the Rules: The First Recorded Hard Substrate Sessile Benthic Community Far Beneath an Antarctic Ice Shelf | Marine Science
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2021.642040/full

Accidental discovery of extreme life - YouTube


BASの調査チームは、南極海の海域の一つ「ウェッデル海」の「フィルヒナー棚氷」下の海中で新種の生物を発見しました。BASが棚氷の大陸側の縁から260km離れた地点で厚さ900mの棚氷を掘削し海中をビデオ撮影したところ、深さ1233mの地点にある海中の岩に未知の生物が複数付着している様子が確認されたとのこと。


これらの生物は茎のような部位を持つ海綿動物、茎のような部位を持たない海綿動物、茎のような部位を持つホヤヒドロ虫類などのその他の刺胞動物とみられる分類群に分けられ、最大の個体は約6.6cmであったとのこと。


以下画像の赤い線で示されたものが茎のような部位を持つ海面動物、白い線で示されたものが茎のような部位を持たない海綿動物、オレンジの線で示されたものがその他の分類群です。


BASのヒュー・グリフィス氏によると、このように日光が全く届かず、海温が氷点下にもなる深海に生物が生息するのは非常に困難で、通常ろ過摂食を行う生物のみが生息できるとのこと。グリフィス氏は「今回見つかった生物がこれほど厳しい環境に生息しているのであれば、この環境に対応した特別な形質を獲得しているでしょう。これらの生物は何年も栄養を摂取することなく生存し続けている可能性が高いです」と語ります。

今回の発見は氷床のボーリング調査の際に偶然なされたもので、個体の採取などは行われていません。グリフィス氏は詳しい調査のためには物理的なサンプルが必要だとして、さらなる研究を望んでいます。

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1p_kr

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