メモ

半世紀前に南極でなくした財布が持ち主に届けられる

by Nelvin C. Cepeda/The San Diego Union-Tribune

1960年代に南極でなくした財布が、50年以上経過してから本人のもとに無事送り届けられたと、カリフォルニア州サンディエゴの日刊紙・The San Diego Union-Tribuneが報じました。半世紀前になくした財布の持ち主が特定された背景には、多くの人々の善意がありました。

San Diego man reunited with wallet lost in Antarctica 53 years ago - The San Diego Union-Tribune
https://www.sandiegouniontribune.com/communities/san-diego/story/2021-02-04/san-diego-man-reunited-with-wallet-lost-in-antarctica-53-years-ago

Navy veteran blown away after wallet lost in Antartica in the 1960s returned to him 53 years later | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/news/article-9232205/Navy-veteran-blown-away-wallet-lost-Antartica-1960s-returned-53-years-later.html

53年ぶりに自分の財布を手にしたのは、カリフォルニア州に住む91歳のポール・グレシャム氏です。アメリカ海軍所属の気象学者だったグレシャム氏は、民間の研究支援のために海軍が実施した「ディープフリーズ作戦」に参加。1967年に南極大陸のロス島にあるマクマード基地に派遣され、基地近郊の気象を予測する任務に就いていました。

その後、1968年に約13カ月後に任務を終えてカリフォルニア州に戻ることになったグレシャム氏ですが、基地で財布をなくしたまま帰還してしまい、やがて財布をなくしたことも忘れてしまいました。

マクマード基地で勤務中している時のグレシャム氏(左)と、同氏の昇任を祝う当時の指揮官ジム・マクニーリー氏(右)。

by The San Diego Union-Tribune/Courtesy photo

そんなグレシャム氏の財布を本人に返したのは、南極の研究機関に勤務していたスティーブン・デカト氏と、その娘のサラ・リンドバーグ氏です。デカト氏とリンドバーグ氏の2人は、以前店で売られていた海軍軍人のIDブレスレットを本人の元に返すことに成功したことをきっかけに、元上司ジョージ・ブレイズデル氏から「2014年にマクマード基地の建物が解体された際にロッカーの後ろから見つかった財布の持ち主を探してほしい」という依頼を受けます。持ち主捜しを引き受けた2人は、Facebookを通じて退役軍人支援団体に連絡し、同団体が海軍気象協会に問い合わせ、財布の持ち主の連絡先を突き止めました。

なくしたことさえ忘れていた財布を再び手にすることになったグレシャム氏は、「ただただ驚いています。この財布が見つかり、私の元に届くにあたっては、きっと多くの人の尽力があったことでしょう」と話しました。

半世紀ぶりに見つかった財布の中には、海軍時代の身分証明書や……

by Nelvin C. Cepeda/The San Diego Union-Tribune

核・生物・化学兵器による攻撃を受けた際の心得が記載されたカードが入っていました。また、他にも運転免許証、ビール配給券、源泉徴収票、妻に送金した際の郵便為替の領収書なども入っていましたが、基地には売店がないので現金は入っていなかったとのことです。

by Nelvin C. Cepeda/The San Diego Union-Tribune

グレシャム氏は現役時代、南極の他にグアムやハワイ、日本での任務に従事し、空母の乗組員になったことも2回ありました。南極での任務の中で特に思い出深いエピソードについて、グレシャム氏は「一番記憶に残っているのはとにかく寒かったことです。もし炭酸飲料の缶を外に置き忘れようものなら、15分とたたないうちに凍ってポンと破裂してしまうような場所でした」と振り返りました。

また、財布の持ち主捜しに一役買ったリンドバーグ氏は「財布の持ち主を見つけられたのは、とても気持ちがいいことでした。父は財布を正当な持ち主の元に届けられたことを誇りに思っていますし、海軍の軍人だった私の祖父もきっと誇りに思ってくれるでしょう」と話しました。

なお、デカト氏とリンドバーグ氏は、グレシャム氏の財布と一緒に見つかった別の財布の持ち主も突き止めています。その財布の持ち主は、2016年に亡くなったポール・ハワード氏という男性で、財布を受け取った男性の遺族も故人の財布を届けてもらったことに謝辞を述べたとのことです。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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