サイエンス

南極の「終末の氷河」が5年以内に崩壊して海面が数メートル上昇する可能性


地球温暖化に対する関心が高まる中、融解が進行しているとたびたび報じられてきた南極の「スウェイツ氷河」が5年以内に崩壊する可能性があるという研究結果が発表されました。

AGU Fall Meeting 2021
https://agu.confex.com/agu/fm21/meetingapp.cgi/Paper/978762

Antarctica's 'doomsday' glacier: how its collapse could trigger global floods and swallow islands
https://theconversation.com/antarcticas-doomsday-glacier-how-its-collapse-could-trigger-global-floods-and-swallow-islands-173940

The 'Doomsday' glacier may soon trigger a dramatic sea-level rise | Science News for Students
https://www.sciencenewsforstudents.org/article/antarctica-thwaites-glacier-ice-shelf-collapse-climate-5-years

スウェイツ氷河はイギリスとほぼ同等の大きさを誇る南極の氷河で、スウェイツ氷河が融解して流れ出た水が海面上昇の原因の4%を占めると考えられていることから「終末の氷河」とも呼ばれる存在。過去30年間でスウェイツ氷河の融解速度は倍加していることが確認されており、地球温暖化が加速しているということを示す物証としてたびたび報じられてきました。

世界中の科学者が注目する南極の「スウェイツ氷河」はなぜ地球温暖化を考える上で重要なのか? - GIGAZINE


2021年12月にオレゴン州立大学のペリン・C・ペティット氏らが発表した研究は、スウェイツ氷河が5年以内に崩壊する可能性を示唆するもの。スウェイツ氷河の東部3分の1を支える棚氷の下部や周辺に配置されたセンサーから得られたデータによると、地球温暖化の影響を受けた海水が底部から棚氷を浸食しており、すでに棚氷表面に亀裂が走っている状況とのこと。


スウェイツ氷河が完全に崩壊した場合、スウェイツ氷河の有する「世界の海面を0.65メートル上昇させる水量」が海に流れ込むとされていますが、問題はそれだけにとどまりません。ひとたび海面が0.65メートル上昇した場合、その上昇によってさらに世界中の氷河が融解して連鎖的な海面上昇が生じると考えられており、最終的な海面の上昇値は数メートルに達する可能性すらあり得るそうです。

海面が数メートル上昇した場合、東京・ニューヨーク・上海・マイアミ、ムンバイなどの世界中の大都市が浸水する可能性があるほか、キリバス・ツバル・モルディブなどに至っては国土の大部分が水没する可能性があるとのこと。ペティット氏は「この棚氷が崩壊した場合、海面上昇が急速かつ直接的に進行するでしょう」とコメントしています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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