ハードウェア

世界初の238層4D NANDフラッシュメモリの量産をSK hynixが開始、前モデル比較でデータ転送速度は50%高速・エネルギー使用量は21%減・製造効率は34%向上


現地時間の2023年6月8日、韓国の半導体製造企業・SK hynixが、世界初の238層512Gb(ギガビット:64GB)TLC(Triple Level Cell)4D NANDフラッシュメモリの量産を開始したことを発表しました。

SK hynix Begins Mass Production of Industry's Highest 238-Layer 4D NAND | SK hynix Newsroom
https://news.skhynix.com/sk-hynix-begins-mass-production-of-industrys-highest-238-layer-4d-nand/


SK Hynix Starts Production of 238-Layer 3D NAND: 34% Denser with 2.4 GT/s Interface
https://www.anandtech.com/show/18902/sk-hynix-starts-production-of-238layer-3d-nand-2400-mts

SK Hynix starts mass production for 238-Layer 4D NAND memory, 20% faster PCIe 5.0 NVMe SSDs coming soon - NotebookCheck.net News
https://www.notebookcheck.net/SK-Hynix-starts-mass-production-for-238-Layer-4D-NAND-memory-20-faster-PCIe-5-0-NVMe-SSDs-coming-soon.724571.0.html

SK hynix Starts Mass Production of Speedy, 238-Layer NAND | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/sk-hynix-starts-mass-production-of-speedy-238-layer-nand

SK Hynix Takes Density Lead With Mass Production Of 238-Layer 4D NAND Flash Memory | HotHardware
https://hothardware.com/news/sk-hynix-mass-production-238-layer-4d-nand-flash-memory

SK hynix Commences Mass Production of 238-Layer 3D NAND, Up To 50% Faster Data Transfers
https://wccftech.com/sk-hynix-commences-mass-production-238-layer-3d-nand-up-to-50-percent-faster/

SK hynixが量産開始を発表したのは、2022年8月に開発が発表された世界初の238層512Gb TDL 4D NANDフラッシュメモリです。開発に成功した238層NANDは、世界最高層でありながら世界で最も小さいサイズを実現したという点が重要な意味を持つとSK hynixは説明しています。

SKハイニックス、世界最高層238層 4D NAND開発成功 | SKハイニックスのプレスリリース | 共同通信PRワイヤー
https://kyodonewsprwire.jp/release/202208034717


今回開発に成功した238層NANDのデータ転送速度は2.4Gb/sで、これはひとつ前の世代となる176層NANDと比べて50%も高速になっています。また、チップがデータを読み込む際に使うエネルギー使用量は21%減、製造効率も34%向上しています。

238層NANDのスペックは以下の通り。

SK hynix TLC NAND

238層NAND176層NAND
レイヤー数238176
デッキ2(x119)2(x88)
ダイ容量512ギガビット(64GB)512ギガビット(64GB)
ダイサイズ(mm2)35.58~47.4
密度(Gbit/mm2)~14.3910.8
I/O速度2.4GT/s(ONFi 5.0)1.6GT/s(ONFi 4.2)
CuA/PuC使用使用


なお、NANDフラッシュメモリは1つのセルにいくつの情報を保存するのかによって、SLC(Single Level Cell、1個)、MLC(Multi Level Cell、2個)、TLC(Triple Level Cell、3個)、QLC(Quadruple Level Cell、4個)、PLC(Penta Level Cell, 5個)といったように規格が分かれており、1つのセルに保存できる情報が増えるほど同じ面積により多くのデータを保存できるようになります。


SK hynixは「238層NAND技術を採用したスマートフォンやPCのストレージデバイスとして使用されるクライアント向けのSSD製品を開発し、5月に量産を開始した」と発表しています。さらに、「当社が238層NANDと前世代の176層NANDの両方において、価格・性能・品質において世界クラスの競争力を確保していることを踏まえると、これらの製品が下半期の収益をけん引することになると期待しています」とも述べました。

また、SK hynixは世界的なスマートフォンメーカーとの製品互換性テストが完了したのち、スマートフォン向け238層NAND製品の供給を開始し、PCIe 5.0対応のSSDやサーバー向けSSDといった各種製品群でも同技術を採用していく予定としています。

238層NANDの開発責任者であるJumsoo Kim氏は「今後の市場回復期に他の誰よりも大きな好転を達成できるように、NAND技術の限界を克服し、競争力の強化を続けていく」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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