サイエンス

人は「AIによる不公平な決定」にも敏感に反応することがテトリスを用いた実験で確かめられる


現代社会では、従業員のタスク管理やバイトのシフト調整など、いろいろな場面でアルゴリズムを用いた割り当てが行われるケースがあります。これまで、こうした割り当てが行われたことによる人間関係への影響は不明でしたが、テトリスを用いた実験により、人はたとえAIによる割り当てであっても「不公平な扱いが行われている」と気にすることがわかりました。

The social consequences of Machine Allocation Behavior: Fairness, interpersonal perceptions and performance - ScienceDirect
https://doi.org/10.1016/j.chb.2022.107628


Tetris reveals how people respond to unfair AI
https://techxplore.com/news/2023-05-tetris-reveals-people-unfair-ai.html


研究を行ったのはイェール大学のヒューストン・クラウレ氏とコーネル大学のキム・セユン氏、ルネ・キジルチェク氏、マルテ・ユング氏。

実験で用いられたテトリスはクラウレ氏が作成したもので、2人のプレイヤーが協力してステージをクリアしていくように改造されています。

Co-Tetris - YouTube


実験でクラウレ氏らは、プレイヤーに回るターン数をパートナーより多い90%、パートナーと等しい50%、パートナーより少ない10%にして、反応を確かめました。

実験の結果、ターン数が少なかったプレイヤーは、「パートナーのターン数が自分よりも多い」という不公平感を強く認識していることが分かりました。


この結果自体は研究者の予想通りでしたが、「ターンの割り当てを人間が行っているかAIが行っているかに関わらず、抱く感情は同じだった」という点は研究者らを驚かせたとのこと。

加えて、割り当てをAIが行うとき、多くのターンを得たプレイヤーは「パートナーの優位性が低い」と感じたこともわかりました。割り当てを人が行うときには、優位性への認識に影響はなかったそうです。


こうした影響は、研究者らが「Machine Allocation Behavior(マシン割り当て行動)」と呼んでいるもので、すでに確立されている「Resource Allocation Behavior(リソース割り当て行動)」と同様に、割り当て決定に基づいて人々が示す観察可能な行動だとのこと。

キジルチェク氏は、特にAIが一度きりではなく継続的な意思決定を行う場合において、AIによる意思決定が人々に及ぼす影響に関するより多くの研究につながることを期待しているとのことです。

なお、公平性はゲームのプレイやパフォーマンスの向上につながるわけではなく、均等にターンを割り当てた結果は、不均等に割り当てたときよりも平均して悪いスコアでした。クラウレ氏は「うまいプレイヤーが多くのテトリミノを操作した方がチームの成績は高くなります」と述べました。

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in サイエンス,   動画, Posted by logc_nt

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