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中国初の火星探査ローバー「祝融号」が休眠状態に突入したまま復活していないことが判明、火星の砂嵐のせいか

by 中国新闻网

中国初の火星探査ローバー「祝融号」は2021年5月から火星での活動を開始し、火星の地表上を移動して撮影した映像や音声を地球に送信してきました。ところが、祝融号は2022年5月から活動を停止して休眠状態に突入し、復帰予定を過ぎた2023年2月になっても動いていないことが判明しました。

HiRISE | HiPOD: 21 Feb 2023
https://www.uahirise.org/hipod/ESP_077511_2055

Chinese scientists scramble to wake Mars rover, plan to send probe to investigate, sources say | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/china/science/article/3205894/chinese-scientists-scramble-wake-mars-rover-plan-send-probe-investigate-sources-say

China silent on fate of Tianwen 1 Mars mission's Zhurong rover | Space
https://www.space.com/china-silent-zhurong-mars-rover-tianwen-1

China's Mars rover may be dead in the dust, new NASA images reveal | Live Science
https://www.livescience.com/chinas-mars-rover-may-be-dead-in-the-dust-new-nasa-images-reveal

2020年7月、中国の宇宙開発機関である中国国家航天局は、祝融号を搭載した火星探査機・天問1号を打ち上げました。天問1号は2021年2月に火星周回軌道へ突入し、5月14日には祝融号を搭載した着陸船(ランダー)が火星への軟着陸に成功。6月には祝融号が撮影した「火星に着陸する瞬間の映像および音声」が公開されました。

中国の火星探査ローバー「祝融号」が降下・着陸時に撮影した映像が公開される - GIGAZINE


祝融号には火星の地下を探査するためのレーダー機器や磁力計、気象観測機、鉱物の成分を調べる複合スペクトルカメラなどが搭載されています。当初は90日間の運用が計画されていたものの、祝融号は予定を大幅に超えて約1年にわたって活動を継続し、2022年5月から計画された休眠状態に突入しました。

祝融号は12月頃に休眠状態から復帰するとみられていましたが、記事作成時点でも祝融号は休眠状態のままだとのこと。アメリカ航空宇宙局(NASA)が2023年2月21日に公開した、火星周回軌道の多目的探査機であるマーズ・リコネッサンス・オービターによって撮影された画像が以下。一番左の写真は2022年3月に撮影され、中央が2022年9月に、一番右が2023年2月に撮影されたものであり、青い点が祝融号です。祝融号は2022年9月から動いていないことがわかるほか、最新画像では祝融号の全体が茶色っぽく見えることから、上にほこりや砂が積もっていることがうかがえます。


天問1号の関係者によると、祝融号は「バッテリーを含む主要コンポーネントの温度がセ氏-15度を超える」「発電量が140Wを超える」という2つの条件を満たすと、休眠状態から復帰するように設計されているそうです。しかし、火星の厳しい冬による気温低下や、砂嵐で祝融号のソーラーパネルにほこりや砂が積もって太陽光発電が妨げられたことで、休眠状態から復帰できない可能性があると指摘されています。

香港の日刊紙であるサウスチャイナ・モーニングポストに証言した中国の宇宙開発関係者は、「2021年に祝融号が着陸して数日後に撮影した自撮り写真から、当時はソーラーパネルが非常にきれいだったことがわかります。しかし、翌年の1月に撮影された写真では、すでにソーラーパネルがほこりの層で覆われていました」「厳しい砂嵐の季節を経て、祝融号が赤みがかった火星のほこりに覆われていることは想像に難くありません」と述べました。


記事作成時点では祝融号が寿命を迎えたという公式宣言は出ておらず、気温が上昇したり、嵐によってソーラーパネルからほこりが吹き払われたりして、再び祝融号が活動を再開する可能性も残されています。

なお、中国国営メディアの新華社通信は2023年2月に、天問1号の周回軌道突入から2周年を祝う記事を発表しました。しかし、この記事における祝融号への言及は短く、新たな画像や活動状況については触れられていません。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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