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外国産メッセージアプリの使用を禁じる法律がロシアで施行される


ロシアでインターネットの監視を担っている連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁(Roskomnadzor)が2023年3月1日に、政府系の機関が外国産のメッセージングアプリを使用することを禁止する法案が施行されたとの警告を発令しました。これにより、ロシアの公的組織の大半はDiscordやMicrosoft Teamsといったアメリカのメッセージアプリや、中国製アプリであるWeChatが使用できなくなります。

Роскомнадзор - Вниманию российских организаций, использующих иностранные сервисы
https://rkn.gov.ru/news/rsoc/news74672.htm

Russia bans foreign messaging apps in government organizations
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/russia-bans-foreign-messaging-apps-in-government-organizations/

ロシアでは3月1日から「情報、情報技術及び情報保護に関する法律」に第10条第8~10項までの条文を追加する改正が発効され、ロシアの政府機関が外国の事業体により所有される情報交換システムを使うことが禁止されると、Roskomnadzorが発表しました。

注意勧告の中でRoskomnadzorは「この法律では、ロシアの組織が外国製のメッセンジャー(ユーザー間でのメッセージ交換のみを目的として設計または使用され、送信者がメッセージの受信者を特定し、ユーザーがインターネット上に情報を掲載する仕組みがない外国所有の情報システムおよびコンピュータープログラム)を使用することが禁止されます」と述べました。

具体的に使用禁止が明言されたサービスは、以下の9つです。
・Discord
・Microsoft Teams
・Skype for Business
・Snapchat
・Telegram
・Threema
・Viber
・WhatsApp
・WeChat

この発表を取り上げたIT系ニュースサイトのBleepingComputerは、世界で最も広く使われているビデオ会議、インスタントメッセージ、音声通話プラットフォームの1つである「Zoom」や、暗号化メッセージングサービス「Signal」が名指しされていないことを指摘しています。


こうした点からBleepingComputerは「今回の禁止措置は、ロシア国民の意見形成に影響を与えかねない外国の情報の流入を抑制するためのものではなく、むしろ外国法人への機密情報漏洩を防ぐための予防措置であるように思われます」と結論付けました。

外国のプラットフォームへの態度を硬化させているロシア政府は、2022年8月にもTikTok、Telegram、Zoom、Discord、Pinterestが「誤った情報」を削除しなかったとして、これらの企業に強制措置を講じると発表したことがあります。


個別のアプリだけでなく仮想プライベートネットワーク(VPN)への介入も強めており、2020年1月と2021年12月の2回に分けて信頼性のあるVPN製品のほとんどを禁止する一方、2023年2月にはロシア国内で仕事をしつつVPNを使う人のための国産VPNの創設がロシア連邦議会で立案されました。また2022年9月には、政府機関や公共サービス機関に対してRed OSなどのロシア産OSの使用を推奨する制度が導入されています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1l_ks

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