ハードウェア

GPUを開発・製造する企業は全世界で19社、PCやデータセンター向けGPUを設計する11社のうち8社が中国に拠点を置いている


GPUは本来PCの画像処理に特化したプロセッサであり、以前はゲーマーなどが主な顧客層となっていました。ところが、近年では人工知能(AI)や高性能計算(HPC)に対する需要が急増しており、世界中でGPUメーカーが誕生していることを市場調査企業のJon Peddie Researchが発表しました。

GPU Developments 2022 V1.docx - Sample_GPU_Developments_2022_V1
(PDFファイル)https://mms.businesswire.com/media/20221220005263/en/1669467/1/Sample_GPU_Developments_2022_V1.pdf

The Rise of China GPU Makers: AI and Tech Sovereignty Drive New GPU Entrants | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/ai-and-tech-sovereignity-drive-number-of-gpu-developers-in-china

Hua Hong gives China new hope with old chip technology | Financial Times
https://www.ft.com/content/76d153a1-968b-4d3d-92b5-7827d1d1dfa0

1980年代から1990年代にかけては数十社がGPUやディスクリートGPUの開発を行っていましたが、3Dゲーム市場の拡大と競争の結果大多数が廃業し、2010年の時点で高性能なグラフィックボードを販売していたのはAMDNVIDIAだけでした。


ところが2010年代に入ると、AMDとNVIDIA以外にも高性能GPUの開発・製造に乗り出す企業が現れ始めました。Jon Peddie Researchによると、2022年の時点でGPUの開発・製造を行う企業は全世界に19社あるとのこと。そのうち、ArmなどのGPUアーキテクチャの設計企業が6社、AMDやIntel、NVIDIAなどのPCおよびデータセンター向けのGPU設計・開発を行う企業が11社あり、残り2社はスマートフォンやノートPC用のSoC開発を行うAppleQualcommだそうです。

2010年代半ばには開発技術の向上やAIとコンピューターでの高性能な科学計算の需要によって、中国ではAIの能力や半導体の市場で主導権を獲得することを目指すようになりました。その結果、中国国内における>GPUスタートアップの数は急速に増加し、現在ではPC・データセンター向けのGPU設計を行う11社のうち、AMD・Intel・NVIDIAを除く8社が中国拠点です。

世界第2位の経済大国である中国は、アメリカやその他の先進国と激しい開発競争を行っており、世界中からエンジニアを誘致した結果、中国では多数のGPU開発企業が誕生しています。Jon Peddie ResearchのJon Peddie氏は「AIの普及やNVIDIA製のGPUの高価格化が中国でのGPU企業の発展の大きなきっかけとなりました」と述べています。


一方でPC用の高性能で競争力のあるディスクリートGPUを開発する企業はAMDとNVIDIAの2社だけとされています。その理由としてJon Peddie Researchは「GPUアーキテクチャの開発は比較的容易ですが、適切なドライバーを設計、実装することは困難な作業です」と述べています。

また、高性能なGPUの開発や製造には膨大なコストが必要とされており、テクノロジー系ニュースサイトのSemiconductor Engineeringは「プロセスノードが5nmのようなかなり複雑なGPUの設計コストは5億4000万ドル(約720億円)を超えます」と見積もっています

Jon Peddie Researchは「しばらくの間、アメリカの巨大企業以外から競争力があるGPUが登場することはないでしょう」と述べています。その理由として、GPUの開発の困難さや必要なコストの高さを例に挙げています。


Jon Peddie Researchの指摘の一方で、中国では上海に拠点を置く半導体ファウンドリ企業の華虹半導体が研究開発で成長を続けており、2022年の年間売上高は2021年比で40%増の6億3000万ドル(約836億円)に達しました。また、匿名の中国政府のテクノロジー顧問は「華虹半導体はAIチップの輸入が制限された国内のチップサプライチェーンの成長をけん引する強力な企業になる可能性があります」と述べ、アメリカ政府による中国へのAIチップ輸出規制が強まる中で、華虹半導体が重要な役割を果たす可能性があると主張しています。

NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE

GPUの出荷台数が過去10年間で最低だったことが判明、次世代製品を待つ買い控えやマイニングの仕様変更が原因か - GIGAZINE

NVIDIAが中国で輸出規制を回避できる新チップ「A800」を生産していることが明らかに - GIGAZINE

NVIDIA・AMD・Intelの60種類以上のGPUでベンチマークテストを行った結果が公開される - GIGAZINE

中古のGPUやグラフィックボードを購入する際に気を付けるべきポイントとは? - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.