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Googleマップへの対抗としてオープンソースの地図データ構築を目指しAmazon・Meta・Microsoft・TomTom・Linux Foundationが「Overture Maps Foundation」を立ち上げ


非営利の技術コンソーシアムであるLinux Foundationが、オープンで相互運用可能な地図データ構築を目指す団体「Overture Maps Foundation」の設立を発表しました。Overture Maps Foundationのメンバーには、クラウドサービス大手のAmazon Web Services(AWS)、Facebookの運営主でメタバースにも注力しているMeta、OSを中核とするソフトウェア大手のMicrosoft、ナビゲーションやロケーションテクノロジーを手がけるTomTomが名を連ねており、マップ市場で地位を確立するGoogleへの対抗ともみられています。

Linux Foundation Announces Overture Maps Foundation to Build Interoperable Open Map Data
https://www.linuxfoundation.org/press/linux-foundation-announces-overture-maps-foundation-to-build-interoperable-open-map-data

Meta, Microsoft, AWS and TomTom launch the Overture Maps Foundation to develop interoperable open map data | TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/12/15/meta-microsoft-aws-and-tomtom-launch-the-overture-maps-foundation-to-develop-interoperable-open-map-data/

Creating the ultimate smart map with new map data initiative launched by Linux Foundation | VentureBeat
https://venturebeat.com/virtual/creating-the-ultimate-smart-map-with-new-map-data-initiative-launched-by-linux-foundation/


Overture Maps Foundationの設立に寄せたLinux Foundationの公式声明では、「Overture Maps Foundationの使命は信頼性が高く、使いやすく、相互運用可能なオープンデータマップを作成することにより、現代および次世代のマップ製品を実現することです」と記されています。参加するメンバーは、個々が持っているリソースを組み合わせて物理的な世界の変化に応じて正確に更新される地図データを構築し、データはオープンデータライセンスの下ですべての人々が利用可能になるとのこと。

Linux FoundationのエグゼクティブディレクターであるJim Zemlin氏は、「物理的環境と世界中のあらゆる地域社会が成長し、変化していく中でも、マッピングは非常に複雑で一組織が管理できない課題です。すべての人々の利益のため、産業界が一丸となってこれを行う必要があります」「私たちは人々、企業、コミュニティの利益のため、数え切れないほどのイノベーションを可能にする高品質でオープンな地図データを開発するため、主要なテクノロジー企業の間でこのオープンなコラボレーションを促進できることをうれしく思います」と述べました。

現代社会において、地図データは検索やナビゲーション、IoTデバイス、物流、自動運転、データの視覚化といった数多くのアプリケーションの基盤となっています。しかし、記事作成時点のマップ市場ではGoogleとAppleが大きなシェアを占めており、少数の企業が地図データを寡占することはライセンス料の問題を引き起こし、その他の企業が実装できる機能の制限につながる可能性もあります。

テクノロジー系メディアのTechCrunchは、Overture Maps Foundationの設立メンバーにGoogleが存在しないことを指摘。「これらの大企業やライバルたちが手を組むということは、Googleが15年前にモバイルOSのAndroidを発表して以来、地図の世界で圧倒的な強さを誇っていることの証明でしょう」と述べ、Overture Maps FoundationがGoogleへの対抗として登場したことを示唆しました。


Linux Foundationは、「今日の地図サービスを提供する開発者は、多くの課題に直面しています。高品質で最新の包括的なデータを異なるソースから調達し、管理するのは困難であり、コストもかかります。複数のデータセットが、同じ実世界のエンティティを独自のルールと語彙(ごい)で参照しているため、それらを組み合わせることは困難です。さらに、地図データには誤りや不一致が起こりやすく、オープンな地図データは商業的なマップ製品やサービスを簡単に構築する上で必要な構造を欠いている場合があります」と指摘し、Overture Maps Foundationはこれらの懸念に対処する高品質な地図サービスを提供すると主張しています。

Overture Maps Foundationが取り組むとしている項目が以下の通り。

・共同マップ構築:メンバーだけでなく、市民組織やオープンデータソースなど、複数のソースからのデータを組み込む予定だとのこと。
・現実世界のエンティティ参照システム:異なるデータセットのエンティティを実世界のエンティティにリンクさせ、相互運用性を簡素化するとしています。
・品質保証プロセス:地図のエラーや破損、破壊行為を検出可能にして、地図データが安全に本番システムで利用できるようにする予定です。
・構造化データスキーマ:共通の構造化されたデータスキーマを採用し、地図データの使いやすいエコシステムを作成するとのこと。

Linux Foundationは、「このプロジェクトはOpenStreetMapや都市計画部門といったプロジェクトから得られる既存のオープン地図データと、メンバーが提供するコンピュータービジョンとAI/ML技術を使用して構築された新しい地図データを統合して、物理世界の生きたデジタル記録を作成することを目指しています」と述べています。


Overture Maps Foundationの設立メンバーはAWS・Meta・Microsoft・TomTomですが、今後はメンバーや貢献者を拡大する予定です。最初のデータセットは2023年前半にリリースされる予定であり、このリリースには建物・道路・行政情報といった基本レイヤーが含まれるとのこと。次世代のマップ製品をサポートするため、情報のレイヤーは徐々に拡大していくとしています。

AWS GeospatialのゼネラルマネージャーであるMichael Kopenec氏は、正確で包括的な地図データを維持するには法外なコストがかかる上に複雑であるため、多くの顧客にとって手が届かない場所にあり、イノベーションが妨げられる可能性があると指摘。「Overture Maps Foundationを通じて、より多くのエンドユーザーが包括的で高品質の地図データを利用できるよう、業界全体の協力を促進していきます」と述べています。

Metaのマップエンジニアリングディレクターを務めるJan Erik Solem氏は、「物理的な環境を理解して溶け込む没入型の体験は、未来の具現化されたインターネットに不可欠です。Overture Maps Foundationは相互運用可能でオープンな地図データを提供することで、クリエイターや開発者、企業によるオープンなメタバースを構築するための基盤を提供します」とコメントしました。

なお、Linux Foundationは現地時間の2022年12月15日、オープンなメタバース構築を目指す「Open Metaverse Foundation」の設立も発表しています。Linux Foundationは発表時の声明で、「メタバースがインターネットと同じように真に繁栄するためには、すべての人にとって開かれたメタバースである必要があります」と述べています。

Open Metaverse Foundationの設立に向け始動|The Linux Foundation Japanのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000193.000042042.html

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

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