白人至上主義者で悪名高いネオナチのTwitterアカウントが復活、早速ヘイトスピーチを擁護
アメリカの極右や白人至上主義者が集まるサイト「デイリー・ストーマー」を運営していることで知られるアンドリュー・アングリン氏のTwitterアカウントが、サイトを立ち上げた直後にBANされてから約10年ぶりに復活しました。これはTwitterのCEOとなったイーロン・マスク氏による「言論の自由」を復活させる取り組みの一環とみられており、アングリン氏はTwitterに復帰して間もなく、ヒトラーとナチスへの愛を宣言するアメリカ人ラッパーへの支持を表明しています。
Neo-Nazi Andrew Anglin, who was booted off Twitter in 2013, has had his account restored. pic.twitter.com/sEv5UDVUw2
— Right Wing Watch (@RightWingWatch) 2022年12月2日
Elon Musk Just Let A Notorious Neo-Nazi Troll Back On Twitter | HuffPost Latest News
https://www.huffpost.com/entry/andrew-anglin-elon-musk-twitter_n_638a84eee4b09eeedb9d2190
Elon Musk's Twitter is beginning to take shape
https://www.nbcnews.com/tech/internet/elon-musks-twitter-beginning-take-shape-rcna58940
Elon Musk just brought an infamous neo-Nazi back to Twitter • TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/12/02/elon-musk-nazis-kanye-twitter-andrew-anglin/
アングリン氏はTwitterアカウントを復活させると、「アカウントの古い投稿はすべて削除しました。私はあらゆるルールを順守します。にもかかわらずこのアカウントがBANされた場合には、それは私の投稿が悪いのではなく、私が私であるという事実がBANされることになります」と、アカウント復活の正当性を主張しています。またTwitter復帰以降のアングリン氏は、カニエ・ウエストから改名して現在はYeという名前で知られるアメリカ人のラッパーへの支持を表明しています。Ye氏はアドルフ・ヒトラーとナチスへの愛を宣言しているほか、「ドイツの独裁者はクールな男だ」と主張し、ヒトラーがホロコーストで600万人のユダヤ人等を虐殺したことを否定するなど、その活動は騒動を生んでいます。
I am
— Andrew Anglin (@WorldWarWang) 2022年12月3日
Officially endorsing
Ye
For President
Of America
2022年12月初め、Ye氏がユダヤ民族を象徴するダビデの星の中にナチスのハーケンクロイツを記した画像をツイートしたことが、「暴力を扇動することを禁止するというプラットフォームの規則に違反している」として、マスク氏はYe氏のTwitterアカウントを停止しました。一時的な停止は1時間程度で解除されたものの、直接のやり取りを含め協議などが行われてもYe氏は暴力的な言動をやめなかったため、Ye氏のアカウントは完全に停止されました。
Just clarifying that his account is being suspended for incitement to violence, not an unflattering pic of me being hosed by Ari.
— Elon Musk (@elonmusk) December 2, 2022
Frankly, I found those pics to be helpful motivation to lose weight!
アングリン氏はこのYe氏のアカウント停止に対し「ヒトラーを愛していると言うことは、大したことではありません。誰もそれを過剰に気にしません。ヒトラーは80年前に亡くなった人物です」とTwitter復帰当日にツイートし、マスク氏の対応に批判的な意見を示しました。
アメリカのリベラル系メディアのハフポストは、アングリン氏のスタンスが「明らかにヒトラーを気にかけているのに、Ye氏の擁護ではヒトラーを重要視していない、不可解なスタンス」であると指摘しています。アングリン氏は過去に「大統領候補時代のドナルド・トランプ氏を支持して保守主義を強めるオルトライト運動の目標は、白人国家から非白人を民族的に浄化し、権威主義政府を樹立すること」などと発言していたり、2017年に起きた極右集会「ユナイト・ザ・ライト」を「歴史上のすべての知的な人々はユダヤ人を嫌っていた」「アドルフ・ヒトラー。史上最も嘘をつかれた男」などの見出しで煽ったりといった過激な発言をしており、ハフポストはそれを「悪名高い独裁者のプレイブックからそのまま引用したようなもの」と表現しています。
アングリン氏は自身のTwitterで、「私は大量のスパムの犠牲者です。私を法廷に導いた過去のコメントは、あくまで誤って解釈されたジョークに過ぎません。私が何年も前に作ったジョークを無慈悲に解釈した人たちが、私に殺害予告のスパムを大量に送り、私が殺害されるに値すると主張しています」と訴えています。
マスク氏の「言論の自由」ポリシーによるアカウントの復活に関連し、一部の研究チームが「Twitterに前例のないレベルでヘイトスピーチが増加している」という報告をしています。マスク氏はこれに対し「全くの虚偽です」と反論していますが、ヘイトスピーチ増加を一因として広告主が出稿を差し控える動きも見られています。
Twitterのヘイトスピーチがイーロン・マスクの買収後に急増していると研究者が報告、マスク氏は「全くの虚偽」と反論 - GIGAZINE
アングリン氏を初めとする過激な活動家がTwitterに復帰することに対して懸念の声が複数挙がっており、中には「信じられないことに、Twitterは現在、私がネオナチのアンドリュー・アングリンをフォローすることを推奨しています」と訴える投稿も話題になっています。
Twitter is currently recommending I follow neo-Nazi Andrew Anglin. Incredible stuff. pic.twitter.com/F2f9c75Tla
— Jordan Fischer (@JordanOnRecord) 2022年12月2日
NBCニュースによると、アングリン氏に限らず数百もの右翼活動家アカウントや、極右が提唱している陰謀論・政治運動のQアノン支持者のアカウントが復元されているとのこと。一方で、同時期に複数の左翼系アカウントが禁止されており、Twitterの元トラスト&セーフティー責任者であるヨエル・ロート氏は「Twitterユーザーはどのようなルールでアカウントが停止・復活しているのか分からず、曖昧さに悩まされています」とコメントしています。
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