ヒトの脳細胞にゲームのプレイ方法を学ばせる実験に成功
ヒトとマウスから採取した脳細胞をコンピューティングデバイスに融合させることで生物学的知性を持ったマシンを開発することを目指しているCortical Labsとモナッシュ大学、メルボルン大学、ユニバーシティカレッジロンドンといった複数の大学の研究者からなるチームが、幹細胞由来のヒト細胞と胚細胞由来のマウス細胞80万個から作られた生物学的ニューラルネットワーク(BNN)に、1972年にリリースされたアーケードゲームの「ポン」をプレイさせるという実験を行いました。研究成果は査読付き学術誌のNeuronに掲載されています。
In vitro neurons learn and exhibit sentience when embodied in a simulated game-world: Neuron
https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(22)00806-6
Scientists Taught Brain Cells in a Dish to Play Video Games and It's Pretty Wild
https://www.vice.com/en/article/pkgm8g/scientists-taught-brain-cells-in-a-dish-to-play-video-games-and-its-pretty-wild
Scientists teach brain cells to play video game Pong | Neuroscience | The Guardian
https://www.theguardian.com/australia-news/2022/oct/13/scientists-teach-brain-cells-to-play-virtual-pong
研究チームは細胞の活動を感知し、細胞を刺激することができるマルチ電極アレイを搭載した「DishBrain」を使い、ポンで操作する「パドル」がボールを打ち返すことができたか否かに関するフィードバックをBNNに与えました。DishBrainを使ったフィードバックがスタートしてから5分以内に、細胞はポンをプレイする方法を学習し始めたそうです。
学習時間が長くなれば長くなるほど、細胞はより長いラリーを行うことが可能になったとのこと。加えて、ヒト由来の細胞はマウス由来の細胞よりも長くポンのラリーをできるようになりました。実際に細胞がポンをプレイする様子は、以下の動画でチェックできます。
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