メモ

ビットコイン発明者サトシ・ナカモトの正体とされる人物が名誉毀損訴訟で勝訴し約160円の賠償金を得る


世界で最も広く流通している仮想通貨「ビットコイン」は「サトシ・ナカモト」と名乗る匿名の人物によって開発されたことが知られています。この「サトシ・ナカモト」の正体であると名乗り出ているグレイグ・ライト氏が「ライト氏はサトシ・ナカモトではない」という主張を展開した人物を名誉毀損で訴え、勝訴しました。ただし、裁判官はライト氏が挙げた証拠には「意図的な虚偽が含まれている」と指摘しており、ライト氏がサトシ・ナカモトの正体であるという確固たる証拠は依然として示されていません。

Wright v McCormack - Wright-v-McCormack-Judgment.pdf
(PDFファイル)https://www.judiciary.uk/wp-content/uploads/2022/08/Wright-v-McCormack-Judgment.pdf

Craig Wright wins ‘only nominal damages’ of £1 in bitcoin libel case | Bitcoin | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/aug/01/craig-wright-wins-only-nominal-damages-of-1-in-bitcoin-libel-case

Avowed bitcoin creator Craig Wright is not happy with £1 win in UK libel lawsuit | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2022/08/craig-wright-wins-bitcoin-libel-case-but-gets-only-1-as-uk-judge-says-he-lied/

ビットコインは匿名の開発者によって開発されたもので、開発者の正体についての手がかりは論文に記されていた「サトシ・ナカモト」という名前しかありませんでした。このため、サトシ・ナカモトの正体については多様な推測が存在しており、2014年にはサトシ・ナカモトの正体であると報じられたドリアン・サトシ・ナカモト氏が誤った報道の過熱によってプライバシーを侵害されたという旨の声明を発表する事態に至っています。

その後、2015年にはオーストラリア人起業家クレイグ・ライト氏がサトシ・ナカモトの正体であるとするブログ記事話題となり、ライト氏も自らがサトシ・ナカモトの正体であることを認めました。しかし、ライト氏がサトシ・ナカモトの正体であることを示す直接的な証拠は提示されておらず、ライト氏の主張に疑念を抱く意見も数多く寄せられました。

謎に包まれたビットコイン生みの親「サトシ・ナカモト」の正体がついに判明か、オーストラリア人男性が自身をBitcoin発明者と認める - GIGAZINE


ライト氏は、サトシ・ナカモトの正体であることを疑う意見が数多く寄せられたことを受けて、2016年に自身のブログに「証拠を提示できないことに関する謝罪記事」を投稿。記事の中でライト氏は説明を続けることを断念すると述べていました。その後、ライト氏は2019年頃に「サトシ・ナカモトの正体についての疑念」を投稿した複数の人物に対して訴訟の準備ができていることを明かしていました。

今回判決が下ったのは、ライト氏が自身への誹謗中傷を理由にビットコイン専門家のピーター・マコーマック氏を訴えていた裁判です。ライト氏は、マコーマック氏の「ライト氏はサトシ・ナカモトの正体ではない」という発言によって「学術論文の受理が取り消される」「会議への招待を取り消される」「サリー州の治安判事になるチャンスを失う」といった損害を被ったと主張。裁判官はライト氏の主張を認め、マコーマック氏にライト氏へ1ポンド(約162円)の損害賠償を支払うように命じました。

一方で、裁判官は判決文に「(ライト氏が)意図的に虚偽の証拠を提出したため、賠償額はわずかです」と記し、ライト氏が虚偽の証拠を提出していたことを非難しています。また、今回の訴訟では「サトシ・ナカモトの正体」は争点となっておらず、ライト氏がサトシ・ナカモトの正体である確固たる証拠は依然として示されていません。

マコーマック氏は裁判の中で「ライト氏に対する意見は軽快で愉快な口調で展開されたものです」と述べ、ライト氏に損害を与えるものではなかったと主張していました。裁判官もマコーマック氏の意見が「軽快な口調」で発せられたものであることを認めつつ、マコーマック氏が仮想通貨業界に大きな影響を与える専門家であることを考慮し、マコーマック氏に賠償責任があると判断しました。マコーマック氏は判決が下された後に「事件に熱心に取り組んでくれた弁護士に感謝します。また、判決について裁判官に感謝します。私たちは裁判官の判断に非常に満足しています」とツイートしています。

As some of you will now have seen, the judgement in my trial v Dr. Craig Wright has now been handed down.

I want to thank my lawyers for their diligent work on the case.

I also want to thank Mr Justice Chamberlain for this result. We are very pleased with his findings.

— Pedro ☠️ (@PeterMcCormack)


なお、裁判官が指摘した「虚偽の証拠」とは上述の「学術論文の受理が取り消される」「会議への招待を取り消される」「サリー州の治安判事になるチャンスを失う」といったライト氏が被ったと主張する損害についての証拠を指しているとのこと。裁判官の指摘に対してライト氏は「自分が知っていることについて、他人も知っていると思い込んでしまいました」と弁明しています。また、ライト氏は「私の評判を傷つけるような攻撃が止まるまで、私は法的挑戦を続けます」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
謎に包まれたビットコイン生みの親「サトシ・ナカモト」の正体がついに判明か、オーストラリア人男性が自身をBitcoin発明者と認める - GIGAZINE

仮想通貨・ビットコインの開発者を訴訟の危機から保護するための基金「Bitcoin Legal Defense Fund」をTwitter創業者のジャック・ドーシーが立ち上げ - GIGAZINE

自称ビットコイン考案者が失われた仮想通貨のアクセス権を求めて訴訟、裁判所は原告に敗訴時の法定費用支払いを命令 - GIGAZINE

「自称ビットコイン考案者」に対する5000億円超の賠償命令が棄却 - GIGAZINE

3兆600億円相当のビットコインの返還を求められた訴訟に自称ビットコイン発明者が勝訴、「サトシ・ナカモトの証明」は見通し不透明 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.