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「どの服をどれくらいの頻度で着ているのか?着用1回当たりの価格はいくらなのか?」を1年間分析した結果とは?


お高い服や靴を買う時、「確かに高いけど何度も着たらその分だけ1回当たりの価格は安くなるから……」と自分を納得させたものの、実際にはそれほど着なかったという経験がある人もいるはず。個人向けの投資やFIRE関連の記事を執筆しているアンドレ・ネーダー氏が、1年間にわたり「どの服を何回着たのか」「着用1回当たりの価格はいくらになるのか」を完全に追跡した結果を公開しています。

Tracking Everything I Wore For 1 Year
https://andrenader.substack.com/p/nfc-clothes-tracker

ネーダー氏はある日、どういうわけか「特定のシャツを何回着たのかがわからないこと」が気になり始めたことを受けて、思い切ってすべての衣服や靴について身に着けた頻度や着用1回当たりのコストを追跡することに決めました。


もちろん、ネーダー氏が持っている衣服や靴には自動で着用回数をカウントする機能は付いていません。そこでネーダー氏は、すべての衣服にNFC(Near Field Communication/近距離無線通信)タグを縫い付けて、スマートフォンのショートカットを使ってタグを自動で読み取る仕組みを考案しました。NFCはスマートフォンのキャッシュレス決済などで利用されている技術で、近年はほぼすべてのスマートフォンにNFCスキャナーが搭載されています。

まずネーダー氏は、通販サイトのアリババで洗濯や乾燥にも耐えられるNFCステッカーやタグを探し、さまざまな商品をテストしました。その結果、NFCボタンがうまく機能することが判明したため、NFCボタンを一括で注文しました。


それから持っている衣服にせっせとNFCタグを縫い付けました。ネーダー氏は誰かにこのボタンを見られたら不思議がられるだろうと思っていましたが、調査を行った2021年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで外出機会が減ったため、ほとんど影響はなかったとのこと。


ネーダー氏は持っているすべての衣服に固有のIDを設定して、データを文書で扱えるアプリ開発ツール「Coda」で衣服管理システムを作成し、iPhoneのショートカットでNFCタグのスキャンからシステムへの登録を自動化しました。また、靴や大事な服といったどうしてもNFCタグを縫い付けられないものについては、固有アイコンのショートカットを作成し、iPhoneからワンタップで登録できるようにしたと説明しています。なお、さすがのネーダー氏も下着については集計しなかったとのことです。


こうして着用した衣服や靴を自動登録するシステムを構築したネーダー氏は、実際に1年間にわたりデータを収集し続けました。着用回数ベスト5は以下の通りで、トップに輝いたL.L.Beanの靴は1年間に113回も履いていました。小売価格を着用回数で割った「1回当たりの価格」は0.85ドル(約115円)、1週間に1回以上履いた週の割合(Percent of Weeks Worn)は60.47%です。2位はFOREVER 21のスウェットで着用回数は94回、1回当たりの価格は0.35ドル(約48円)、1週間に1回以上履いた週は61.54%。3位はアシックスのテニスシューズで着用回数は87回、1回当たりの価格は0.94ドル(約127円)、1週間に1回以上履いた週は71.15%となっています。また、4位と5位にもパンツが入っており、比較的持っている数が少ないパンツ類や靴は上位に入りやすい模様。


6位以~10位はこんな感じ。アディダスのテニスシューズやパタゴニアのジャケット、ナイキのショートパンツなどがランクインしており、ネーダー氏が体を動かすのが好きなタイプであることがうかがえます。


今回の調査でいくつかの興味深い事実が判明しました。1つ目は、「1年間に1回も着なかった衣服や靴がかなり多かった」という点です。以下の画像は左が「1年間に1回も着なかったため寄付したもの」、右が「1年間に1回も着なかったけど手元に取っておいたもの」だとのこと。1回も着なかったとはいえ、ドレスシューズは数年に1度ほどの頻度で使う時が来るほか、200ドル(約2万7000円)のデニムなどはさすがにもったいないので手元に残しておくことにした模様。


ネーダー氏が住んでいるサンフランシスコは気候が安定しているため、1年を通じて何かしらのシャツを着ていたとのこと。シャツの着用回数ランキングは以下の通り。


シャツのサイズごとに着た回数をプロットした以下のグラフを見ると、オレンジ色の逆三角形で示される「M」サイズの服が圧倒的に着用回数が多いことがわかります。これは、ネーダー氏が2020年にライフスタイルを変えて減量に成功したためだそうで、サイズの大きいLやXLといったサイズの服の出番がかなり減っています。


パンツの着用回数ランキングはこんな感じ。なお、2位にランクインしているREIのスウェットパンツは、1位のFOREVER 21のスウェットパンツをあまりにも頻繁に履いていたため、2021年になって新しく買ったものだとのこと。


月ごとのパンツ着用回数の変化を示した以下のグラフを見ると、比較的涼しい12月~5月はスウェットパンツ(水色)の着用が増え、暑くなるとアスレチック・ショーツ(緑色)の着用回数が増える傾向が見て取れます。


これらの分析結果を基に、ネーダー氏は2021年のクリスマスに買う衣服をチョイスしたとのこと。着用回数の多い衣服は高くても質が良いものを買うべきだと考え、EverlaneBuck MasonのミディアムサイズのTシャツ、Vuoriのスウェットパンツやアスレチックパンツ、ジョガーパンツなどを購入したとネーダー氏は報告しました。

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in デザイン, Posted by log1h_ik

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