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「Appleのプライバシー規定は自社を対象外にした不当なルール」とドイツ当局が調査を開始


ドイツの連邦カルテル庁が2022年6月14日に、「Appleのプライバシー規定は、サードパーティー製アプリのみが対象で自社が対象外になっており、自社を不当に有利にしていて反競争的である」として、調査を開始したことを発表しました。

Bundeskartellamt - Homepage - Bundeskartellamt reviews Apple’s tracking rules for third-party apps
https://www.bundeskartellamt.de/SharedDocs/Meldung/EN/Pressemitteilungen/2022/14_06_2022_Apple.html

Mobile ecosystems market study final report - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/publications/mobile-ecosystems-market-study-final-report

Apple Faces German Antitrust Probe Into App Tracking Transparency - MacRumors
https://www.macrumors.com/2022/06/14/apple-faces-antitrust-probe-into-att/

The CMA Final Report on the Mobile Ecosystems market study: a repudiation of Apple’s narrative over privacy and safety as justifications for the status quo – The Platform Law Blog
https://theplatformlaw.blog/2022/06/14/the-cma-final-report-on-the-mobile-ecosystems-market-study-a-repudiation-of-apples-narrative-over-privacy-and-safety-as-justifications-for-the-status-quo/

AppleがiOS 14.5およびiPadOS 14.5から適用したApp Tracking Transparency(ATT)は、アプリの広告がユーザーを追跡する際にユーザーの許可を必要とするよう定める規定で、「(アプリ名)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティを追跡することを許可しますか?」というメッセージもこのATTによるものです。これにより、ユーザーは自分の情報が事前の同意なしに使われるのを防げるようになった一方で、広告業界は大きな痛手を受けました。

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これを受けて、ドイツの連邦カルテル庁は「テクノロジー企業であるAppleについて、同社のトラッキング規則およびATTフレームワークを競争法に基づいて審査する手続きを開始しました。Appleの規則には、自己優遇や他社の妨害の疑いがあり、今回の手続きでこれを検証する予定です」と発表して、Appleに対する競争法違反の疑いについての調査を開始したことを明かしました。

特に問題視されているのが、Appleの規定がiPhoneやiPad向けアプリを作っている他企業を拘束する一方で、Apple自身はその規定に従っていないとされている点です。


連邦カルテル庁長官であるAndreas Mundt氏は、声明の中で「我々はデータを慎重に取り扱い、データの使用方法についてユーザーに選択肢を与えるようにするビジネスモデルを歓迎します。とりわけ、Appleのように自社のエコシステム、特にアプリストアのルールを一方的に決められる立場にある企業は、競争促進的なルールを作るべきです。しかし、Appleのルールがサードパーティには適用されるのにApple自身には適用されないことを踏まえると、同社が競争促進的なルール作りをしているかどうかには疑わしいものがあります」とコメントしました。

ヨーロッパでは、「Appleの厳しいプライバシー規定には同社が広告業界で優位に立つ狙いがあるのではないか」との見方が広がっています。イギリスの競争・市場庁は2022年6月10日に公開した報告の中で、「Appleがパーソナライズされた広告についてユーザーからのオプトインを求める際に、自社に同じ基準が適用されていないことを憂慮しています」と述べて、Appleが自社をATTの対象外にしていることへの懸念を表明しました。

Financial Timesが2021年10月に報じたところによると、ATTの導入後6カ月でモバイルアプリ市場におけるAppleのシェアは3倍になったとのこと。

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by Niels Epting

一方Appleは、ATTが他社を犠牲にしてAppleに不当な利益をもたらしているとの疑いを否定しています。Appleの委託により調査を実施したコロンビア大学ビジネススクールのマーケティング部門は、報告書の中で「ATTの開始によりAppleが利益を得ているとは考えにくく、これに反する主張は裏付けとなる証拠を欠いた臆測に過ぎない」と結論付けました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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