Appleのプライバシー強化で開発者や広告主の収益が15~20%減ったことが判明
賛否両論を呼ぶAppleのプライバシー強化機能「App Tracking Transparency(ATT)」の影響で、iOS向けに広告を表示する広告主やアプリ開発者の収益が、15~20%減少したことが報じられています。ATTはまだ完全に有効になったわけではないため、今後はこれ以上の影響が現れると考えられています。
Brian Bowman: Apple's IDFA change has triggered 15% to 20% revenue drops for iOS developers | VentureBeat
https://venturebeat.com/2021/07/13/brian-bowman-apples-idfa-change-has-triggered-15-to-20-revenue-drops-for-ios-developers/
App Tracking Transparency causing 15% to 20% revenue drop for advertisers | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/07/13/app-tracking-transparency-causing-15-to-20-revenue-drop-for-advertisers
AppleはiOS 14.5からATTというプライバシー強化を導入しています。iOS端末ではIDFAという広告識別子を利用していますが、ATTの実装以降は、広告主が広告表示にIDFAを利用するためにユーザーの事前同意が必要となりました。IDFAが利用できないということは、製品への興味・関心が高いユーザーにターゲットを絞って広告を表示できなくなるということのため、「広告のパフォーマンスが悪くなるのでは」と多くのブランドやアプリ開発者、広告会社などに懸念されていました。
そして、2021年7月13日に公開されたVentureBeatの記事の中で、広告代理店・Consumer AcquisitionのBrian Bowman氏は、ATTの実際の影響について語りました。
ATTは記事作成時点で「完全に有効」になっているわけではなく、移行の最中です。Bowman氏によると、この移行時期においても広告主やアプリ開発者は収益が15~20%が減少したことを報告しているとのこと。収益の減少については、「全く見られない」とする広告主が存在する一方で、30~40%もの減少を伝える広告主も存在するとBowman氏は述べました。また、原因不明のオーガニックのトラフィックが増加している広告主も存在し、「ユーザーに合わせて広告を表示する」ということができていないことが示唆されています。
一方で、iOSユーザーの中にはまだアップデートを行っておらずATTが有効出ない人もいるため、「広告主がこの機能の完全な影響を感じ始めるのは、iOS14.6へのアップデート率が80%に達して30日後だろう」とBowman氏は述べています。
iOS端末では、アプリ開発者が利用する端末識別用番号「IDFV」を使って広告の追跡を行うことが可能ですが、Bowman氏はAppleのこのような取り組みについて「大企業はIDFVを使った『庭』の構築に進むことができますが、中小規模の開発者にはアプリ内購入に移行する余裕がありません。そのためには多くのお金が必要になります」と批判しました。
なお、IDFAによる追跡を許可しているユーザーは、7月時点で20%ほどであり、多くのユーザーが追跡を拒否しているとのことです。
・関連記事
Appleのプライバシーポリシー変更が想定とは真逆の「コンテンツの要塞」を作り出す - GIGAZINE
Appleがプライバシー強化機能を導入してAndroidが恩恵を受ける - GIGAZINE
AppleとFacebookはなぜ全面対決しているのか? - GIGAZINE
iOS 14.5でプライバシーが強化されてiOSへの企業の広告費はどう変化したのか? - GIGAZINE
Appleはプライバシー強化で自社の広告サービスをブーストすることができる - GIGAZINE
・関連コンテンツ