生き物

オスのネズミがバナナの香りを怖がる理由とは?


ネズミは肉でも野菜でもフルーツでも何でも食べられる動物のように思われていますが、実はオスのマウスが「バナナの香り」を苦手としていることが判明しました。また、交尾未経験のオスは交尾経験済みのオスと比べて「バナナの香り」から強いストレスを感じることも明らかになっています。

Olfactory exposure to late-pregnant and lactating mice causes stress-induced analgesia in male mice
https://doi.org/10.1126/sciadv.abi9366

Male mice are terrified of bananas. Here's why. | Live Science
https://www.livescience.com/mice-fear-bananas

オスのマウスがバナナの香りを嫌うことを発見したのは、マギル大学の研究チームです。研究チームは、研究室で飼育しているオスのマウスが妊娠中のメスのマウスの近くにいる際に普段と異なる行動をとることに気付いたことから、メスが発する物質のうちオスのマウスにストレスを与える物資を突き止めようとしました。

研究チームは、オスのマウスをケージに入れてからメスが発する多様な物質を嗅がせた上で、脚に熱源を近づけてオスが痛みに反応するまでの時間を調査しました。以下の図は縦軸が痛みに対する反応時間を示しており、「酢酸n‐ペンチル」を嗅いだマウスの反応時間が最も遅いことが分かります。


生物は(PDFファイル)ストレスを感じた際に痛みへの反応が鈍ることが知られています。このことから、研究チームは「酢酸n‐ペンチル」がオスのマウスにストレスを与えていると結論付けました。

この「酢酸n‐ペンチル」はバナナの独特な香りを生み出す成分としても知られています。そこで研究チームは市販のバナナオイルの香りをオスのマウスのマウスに嗅がせて上記と同様の実験を行いました。その結果、バナナオイルの香りを嗅いだオスも痛みへの反応が鈍ることが判明し、バナナの香りがオスのマウスにストレスを与えていることが示唆されました。


研究チームによると、痛みへの反応が鈍る現象は交尾未経験のオスで顕著に表れたとのこと。オスのマウスの中でも交尾未経験の個体は生まれたてのマウスに対する攻撃性が高いことで知られていることから、研究チームは「妊娠中や授乳中のマウスは子どもをオスから守るために『酢酸n‐ペンチル』を発している」と推測しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1o_hf

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