生き物

ハチドリは昆虫の匂いを嗅ぎ分けられることが判明、鳥は嗅覚が弱いという通説を覆す発見


ハチドリは鳥類の中でもっとも小さい体を持ち、翼を高速で羽ばたかせてホバリングするという特徴を持っています。そんなハチドリが「昆虫の匂いを嗅ぎ分ける能力」を持っていることがカリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームによって明かされました。

What is that smell? Hummingbirds avoid foraging on resources with defensive insect compounds
(PDFファイル)https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00265-021-03067-4.pdf

Hummingbirds can smell their way out of danger | News
https://news.ucr.edu/articles/2021/09/06/hummingbirds-can-smell-their-way-out-danger

研究チームによると、ハチドリが嗅覚を持っている可能性はこれまでも示されていたものの、「昆虫に花粉を運ばせる花は強い匂いを放つが、鳥に花粉を運ばせる花はあまり匂いを放たない」ということから、ハチドリの嗅覚が発達している可能性は低いとされてきたとのこと。今回の研究では、ハチドリが花ではなく昆虫の匂いをかぎ分けている可能性を追求するべく複数種の昆虫の匂いを付けたエサ箱を設置し、ハチドリの反応を確かめました。


以下の図は、匂いを付けていない砂糖水を入れたエサ箱(灰色)とミツバチの匂いを付けた砂糖水を入れたエサ箱(黒)を、野生のハチドリが生息する場所に設置した場合(A)とハチドリの飼育施設に設置した場合(B)で、ハチドリがそれぞれのエサ箱に訪れた回数を示しています。図を確認すると、ハチドリは野生か飼育個体かにかかわらずミツバチの匂いを気にせずエサ箱を訪れていることが分かります。


次に、研究チームはアリの毒腺から分泌されるギ酸や、アルゼンチンアリの道しるべフェロモンであるZ9-ヘキサデセナールに対するハチドリの反応を調査しました。以下の図はそれぞれ、「C:野生のハチドリが砂糖水(灰色)とギ酸を含む砂糖水(黒)のどちらに多く訪れるか」「D:飼育したハチドリが砂糖水(灰色)とギ酸を含む砂糖水(黒)のどちらに多く訪れるか」「E:野生のハチドリが砂糖水(灰色)とZ9-ヘキサデセナールを含む砂糖水(黒)のどちらに多く訪れるか」「F:飼育したハチドリが砂糖水(灰色)とZ9-ヘキサデセナールを含む砂糖水(黒)のどちらに多く訪れるか」を示しています。図を確認すると、C~Fのどの場合でも、ハチドリがアリ由来の匂いを避けていることが分かります。


上記の実験に加えて、研究チームは「ハチドリは、アリの匂いをかぎ分けたのではなく、初めて嗅ぐ匂いを避けた」という可能性を排除するために、自然界に存在しない匂いを放つ酪酸エチルを用いて同様の実験を実施。その結果、ハチドリが酪酸エチルを避けないことが示されました。この結果から、研究チームは「ハチドリの嗅覚は匂いをかぎ分けられるほどに発達しており、自らに危険を及ぼす可能性のある匂いを避けることができる可能性が示された」と述べています。

また、研究チームは「今後は、ハチドリの匂いに対する反応が学習や慣れによってどのように変化するか調査する必要があります」と述べ、今後の研究への意欲を示しています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1o_hf

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