サイエンス

食べる時間を制限する「8時間ダイエット」を1年間続けた実験から判明したことは?


世の中には多種多様なダイエット法がありますが、近年注目されているものの1つに、食事をする時間を1日のうち8時間に収め、残りの16時間は絶食状態にすることで痩せるという「8時間ダイエット」があります。そんな8時間ダイエットの効果を約1年間にわたり実験した研究結果について、ニューカッスル大学の栄養学教授であるクレア・コリンズ氏がまとめています。

Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35443107/

Restricting calories leads to weight loss, not necessarily the window of time you eat them in
https://theconversation.com/restricting-calories-leads-to-weight-loss-not-necessarily-the-window-of-time-you-eat-them-in-181942

中国・南方医科大学とアメリカ・テュレーン大学の研究チームは、通常の低カロリーダイエットを行った場合と、低カロリーダイエットに加えて食事時間の制限を設けた場合で、体重減少に差が出るかどうかを調べる実験を行いました。


実験に参加した139人の被験者は平均体重が88kg・平均年齢が32歳で、それぞれ「1日のカロリーを通常より25%低く抑える低カロリーダイエットを行うグループ」と、「低カロリーダイエットに加えて食事する時間を8時~16時までの8時間に制限するグループ」に無作為で割り当てられました。いずれのグループもヘルスコーチの支援を受け、12カ月間にわたりダイエットを継続したとのこと。

実験の結果、両方のグループがダイエット開始前から7~10%ほど体重を減らすことに成功しました。このうち、低カロリーダイエットのみを行ったグループは平均で6.3kg減少し、低カロリーダイエットに加えて時間制限を設けたグループは平均で8kg減少しました。体重に着目すると、時間制限を設けた方がより大きな減量に成功しているように見えますが、両グループの間に統計的な差はなかったと研究チームは報告しています。

また、両グループには血糖値や血中脂肪値、インスリン感受性などが向上する効果もみられましたが、これらについてもグループ間で有意な差は確認されなかったとのこと。


コリンズ氏は今回の研究結果について、以下の4点が重要だと指摘しています。

◆1:実験は中国で行われた
食事やダイエットに関する多くの実験はアメリカで行われていますが、今回の実験は中国の広州市で行われました。そのため、アメリカなどで行われた実験と比較して、カロリーに敏感な文化的背景を持っていた被験者を対象にした実験結果だといえます。

◆2:食事時間の差は両グループで2.5時間ほどだった
広州市の被験者らが食事をする時間は、1日のうち平均約10.5時間ほどだったため、8時間ダイエットを行う人々は通常時より平均2.5時間ほど絶食時間が長くなった計算になります。一方、アメリカでは成人の約90%が1日12時間以上も食事をしており、50%以上は1日の絶食時間が9時間未満で、1日に12時間以上の絶食時間がある成人はわずか10%ほどだとのこと。また、中国では昼食に1日で最も多くの量を食べる人が多いため、今回の時間制限によって昼食が影響を受けなかったことも結果に影響している可能性があります。

食事時間を制限するダイエットに関する19件の実験を分析した2020年の研究では、食事時間の制限が肥満の人の体重と体脂肪を減らし、収縮期血圧や血糖値を下げることが示されています。そのためコリンズ氏は、夜中までおやつを食べる人が多く1日の絶食時間が中国より短い国や、夜に最も多くの量を食べる国では、8時間ダイエットは依然としてカロリー摂取量を減らす有益な方法かもしれないと述べました。


◆3:被験者はダイエットに関して適切なサポートを受けていた
実験に参加した両グループは、アプリに日々の食事や時間を記録していたほか、カロリー摂取量を制限するためにさまざまなサポートを受けていました。最初の半年間は食事を低カロリーなものに置き換えるための代替食シェイクが1日1回支給され、週に2回の電話やアプリメッセージを受け取ったほか、2週間ごとに訓練を受けたヘルスコーチとの面談を受けたとのこと。また、次の半年間は週に1回電話とアプリメッセージを受け取り、月に1回はヘルスコーチと面談したそうです。

コリンズ氏は、こうした手厚いサポートがダイエットにおいて非常に重要だと主張。8年間にわたり集中的なライフスタイルへの介入を行った研究では、長期的なサポートによって3~5%の体重減少を達成することができ、2型糖尿病を発症するリスクも50%低下するといった効果も確認されたとのこと。

◆4:制限を守っていても体重減少には個人差があった
今回の実験では、被験者の84%が1日当たりのカロリー摂取量と絶食時間を守ることに成功しましたが、低カロリーダイエットのみのグループでは体重減少が4.7~7.8kg、低カロリーダイエットに時間制限を加えたグループでは6.4~9.6kgと、体重減少の成果にはばらつきがありました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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