「食事する時間帯を1日10時間以内に限定する」だけで肥満や糖尿病が改善したとの研究結果
by Prostock-studio
多様なダイエット方法の中には「36時間断食して次の12時間で食べる」という、やや極端な手法も登場していますが、最新の実験により「1日14時間の断食でも肥満や糖尿病が大きく改善した」との研究結果が報告されました。
Ten-Hour Time-Restricted Eating Reduces Weight, Blood Pressure, and Atherogenic Lipids in Patients with Metabolic Syndrome: Cell Metabolism
https://www.cell.com/cell-metabolism/fulltext/S1550-4131(19)30611-4
Limited eating times could be a new way to fight obesity and diabetes
https://theconversation.com/limited-eating-times-could-be-a-new-way-to-fight-obesity-and-diabetes-127154
マウスを用いた過去の実験では、「摂取カロリーを減らさなくても、ものを食べる時間帯を減らすだけで代謝性疾患が改善する」ということが判明しています。また別の研究では、同様の食事制限が「糖尿病予備軍に対する予防効果がある」ことも確認されました。しかし、既にメタボリックシンドロームになってしまった患者を治療することができるかどうかは未検証のままだったことから、カリフォルニア大学サンディエゴ校の生物学者であるサッチダーナンダ・パンダ氏らの研究グループは、メタボリックシンドロームの患者を対象とした実験を行うことにしました。
研究グループは実験の候補者を選定するために、肥満・高血糖・高血圧・高レベルなLDLコレステロール・低レベルなHDLコレステロールという5項目のうち、少なくとも3項目を満たすメタボリックシンドローム患者を募集。AndroidやiOSスマートフォン向けにリリースされているmyCircadianClockというアプリを使用して、候補者らの摂取カロリーや生活習慣を2週間にわたって測定してもらいました。
その結果、19人のメタボリックシンドローム患者が「1日14時間以上にわたり断続的に食事を摂取し続けている」ことが判明。そこで研究グループは、この19人に食生活や運動などの生活習慣は変えることなく、「ものを食べる時間帯だけを1日10時間に限定」するよう依頼しました。具体的な時間は指示されておらず、例えばある人は「9時から19時」に、別の人は「8時から18時」に制限するという具合に、各参加者は自身の生活に合わせて自由に時間を設定可能だったとのこと。また、あらかじめ決めた時間帯の外でも、水や医師に処方された薬は摂取可能としました。
そして、食事の時間帯制限を開始してから12週間後に健康診断を行い、実験開始前と比較しました。その結果、メタボリックシンドロームの指標となる「体重」「胴囲」「血圧」「LDLコレステロール」「非HDLコレステロール」「ヘモグロビンA1c」などの項目すべてで改善が認められたとのこと。また、参加者の約3分の2は「睡眠の質の改善」や、「就寝前の空腹感の低減」といったメリットも報告しました。食事する時間帯を制限した結果、参加者は平均して約8%摂取カロリーが減少していましたが、摂取カロリーを変えないよう厳密に計算を行った別の研究でも同様の効果が確認されていることから、研究グループは「代謝性疾患の指標が改善したのは、単に摂取カロリーが減少したからではない」と見ています。
パンダ氏は今回の研究について、「食事の時間帯を制限するだけというシンプルな手法が、メタボリックシンドロームのような代謝性疾患を患っている人に対する強力な治療法になることが期待できます」と述べました。研究グループは今後、144人の参加者と厳格なランダム化比較試験による大規模な実験を行い、食事する時間帯の制限を治療法として確立させていく方針です。
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