NVIDIAが「仮想通貨マイナーに販売したGPUの数を隠蔽した」として7億円超の罰金を支払い
近年、新型コロナウイルスのパンデミックによる半導体不足と、仮想通貨のマイニング需要が重なり、GPUの需要が急増しています。2021年1~3月に販売されたGPUの25%が仮想通貨のマイニング用途で購入されたという予測もあるほど需要が高まっていたのですが、これに合わせてNVIDIAはマイニング性能を制限したGPUまでリリースすることとなりました。そんなNVIDIAが「仮想通貨マイナーに販売したGPUの数を隠蔽した」としてアメリカ証券取引委員会(SEC)に起訴され、550万ドル(約7億2000万円)の罰金を支払うことに合意しました。
SEC.gov | SEC Charges NVIDIA Corporation with Inadequate Disclosures about Impact of Cryptomining
https://www.sec.gov/news/press-release/2022-79
Nvidia fined $5.5 million over crypto mining GPU disclosures - The Verge
https://www.theverge.com/2022/5/6/23059930/nvidia-sec-charges-fine-settlement-gaming-gpu-crypto-mining
現地時間の2022年5月6日、SECが「仮想通貨マイナーに販売したGPUの数を隠蔽した」としてNVIDIAを起訴しました。SECは「NVIDIAはGPUの売上を『ゲームに関する収益の大幅な増加』として報告することで、投資家を誤解させ、その成功(売上)の多くが仮想通貨市場の需要に依存していたことを隠していた」と主張しています。これに対して、NVIDIAは不正行為を認めてはいないものの、適切な情報開示を行わなかったことを認め、550万ドルを支払うことで和解することに合意しました。
SECは「2017年にイーサリアムのマイニング需要が劇的に増加した際、NVIDIAは仮想通貨マイニング関連の売上を急増させた」としており、NVIDIAの2018年会計年度の財務報告書に基づき和解金を設定しています。
SECは「当時のアナリストや投資家はNVIDIAの収益が仮想通貨マイニングによりどの程度影響を受けたかを理解することに関心があり、同社の上級管理職に定期的に仮想通貨マイニング需要による売上がどの程度だったかを尋ねていました」と指摘。しかし、NVIDIAはハイスペックGPUがゲーム市場で高い需要を得ているのか、それとも仮想通貨マイニングで高い需要を得ているのかについて、詳細な言及を避けていました。そのため、SECは「NVIDIAは故意に欺瞞的だった」と指摘しています。
なお、2018年後半に中国の仮想通貨バブルが崩壊した際、NVIDIAの四半期ごとの収益予測は5億ドル(約650億円)も減少しました。そのため、アナリストや投資家の「NVIDIAの収益増加は仮想通貨マイニング需要によるものなのでは?」という懸念は正しい物であったことが証明されたと言えます。
SECの仮想通貨部門の責任者であるKristina Littman氏は、「NVIDIAが情報開示に失敗したことで、投資家は主要市場でのNVIDIAのビジネスを正しく評価するための重要な情報を得られませんでした」「新興技術に関連する機会を追求する企業は、情報開示がタイムリーで完全で正確であることを確認する必要があります」と述べました。
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in Posted by logu_ii
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