メモ

1000年前の壺が「古代の手りゅう弾」だったという研究結果


エルサレムで出土した11~12世紀のものとみられる陶磁器が「手りゅう弾」だったという研究結果が発表されました。研究チームは、陶磁器製の手りゅう弾が音と閃光によるかく乱目的で十字軍の要塞(ようさい)に投げ込まれた可能性があると主張しています。

Composition of trace residues from the contents of 11th–12th century sphero-conical vessels from Jerusalem
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0267350

Ancient hand grenades: explosive weapons in medieval Jerusalem during Crusades – Griffith News
https://news.griffith.edu.au/2022/04/26/ancient-hand-grenades-explosive-weapons-in-medieval-jerusalem-during-crusades/

Ancient Objects May Have Been Explosive Hand Grenades Almost 1,000 Years Ago
https://www.sciencealert.com/researchers-think-they-ve-found-ancient-1-000-year-old-hand-grenades

中世の戦争に用いられた火薬については中国の黒色火薬が特に有名ですが、ヨーロッパではギリシア火薬と呼ばれる火薬を焼夷兵器に用いていたという記録が残っています。ギリシア火薬は主に東ローマ帝国が用いていましたが、東ローマ帝国と対立していたアラブ側はギリシア火薬の製法を模倣することができなかったため、独自製法の火薬を用いた手りゅう弾で対抗していたという記録が存在します。

新たにカナダ・レイクヘッド大学のカーニー・マシソン氏が発表した論文は、1960年代にエルサレム旧市街のアルメニア人街区で出土した壺の1つが手りゅう弾として用いられていた可能性があるという内容。実際の壺が以下。


マシソン氏らは光学顕微鏡やガスクロマトグラフィー質量分析を使い、爆発性物質として典型的な硝酸カリウム硫黄の濃度が壺の内側で有意に高くなっていることを確認したとのこと。

壺の形状や厚みも手りゅう弾の外殻になり得るために必要な耐圧力を想定している可能性があるとして、マシソン氏らは「問題の壺が手りゅう弾として使われた仮説は検討する価値がある」と主張。ただし、手りゅう弾だけでなくランプにも用いられる脂肪酸も検出されたことから、「単なる油入れだった可能性もある」と述べています。

中世に用いられていたギリシャ火薬などの火薬は製法が失われて久しいため、マシソン氏は「こうした壺と内容物を研究することで、原始的な爆発物に関する技術的な考察と地中海で運用された爆弾の歴史に関する理解が進むことでしょう」とコメントしています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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