フィクションを読むと認知パフォーマンスが向上する
フィクション(創作)に触れることは想像力を豊かにすることにつながることはよく知られていますが、フィクションを読むことが人間の社会的認知パフォーマンスの向上につながるということが新たに確かめられました。
Fiction reading has a small positive impact on social cognition: A meta-analysis - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29481102/
Microsoft Word - Dodell-Feder-JEPG-inpress.docx - Dodell-Feder-JEPG-inpress.pdf
(PDFファイル)https://labsites.rochester.edu/scplab/wp-content/uploads/2018/06/Dodell-Feder-JEPG-inpress.pdf
It’s official! According to science, reading fiction makes you nicer. ‹ Literary Hub
https://lithub.com/its-official-according-to-science-reading-fiction-makes-you-nicer/
フィクションを読むことが社会的理解や認知、共感力の向上に関連するという研究は先行するものが過去に複数あり、2006年には「フィクションを読むことが人々の行動に関する具体的な社会的知識に触れることにつながり、読んだ人が人々の意図を推測できるようになることから、人の社会的意識を向上させることができる」という調査結果が発表されています。
また、2013年には「文芸小説を読むことで人々は登場人物の感情や考えを推測するようになるため、現実の人々との触れ合いでより柔軟なパフォーマンスを発揮するようになる」という調査結果も示されています。
しかし、これらの研究には相関関係のみが証明されて因果関係が証明されなかったり、調査の方法論が疑問視されたりといった問題がありました。
今回、ハーバード大学のDavid Dodell-Feder氏らはこのトピックに関する14の研究にメタアナリシスを実施し、より高い見地から各研究の妥当性が因果的に改善されるかどうかを確認しました。
その結果、フィクションの読書をノンフィクションの読書や読書なしの場合と比較したところ、フィクションの読書は社会的認知能力のパフォーマンスに統計的に有意な影響を与えることが明らかになったとのこと。この結果は感度分析において強力であり、出版分析バイアスの結果ではないとDodell-Feder氏らは記しています。
Dodell-Feder氏らは「フィクションと社会的認知の間の関係性についてまだ完全には明らかでない」と述べ、将来の研究が現実世界と日常の社会的機能に対するフィクションの影響を調査することを推奨しました。
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