メモ

小説家の多くが「自分が書いている作品の登場人物の声」を聞いているとの調査結果


著名な小説家であるアリス・ウォーカーは、自身の小説に登場するキャラクターが「自分のもとを訪れて話す」と説明しており、児童文学作家のイーニッド・ブライトンも登場人物の姿を見て、声を聞くことができると述べています。このように、小説家の中には作品に登場するキャラクターの声を聞くことができる人もいると知られていますが、新たな研究で調査対象となった小説家のうち、実に3分の2が同様の現象を経験していることが判明しました。

‘I’ve learned I need to treat my characters like people’: Varieties of agency and interaction in Writers’ experiences of their Characters’ Voices - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053810019304155

Majority of authors 'hear' their characters speak, finds study | Books | The Guardian
https://www.theguardian.com/books/2020/apr/27/majority-of-authors-hear-their-characters-speak-finds-study

Most Authors Can 'Hear' Their Characters' Voices Talking to Them, Survey Reveals
https://www.sciencealert.com/most-authors-can-hear-their-characters-voices-in-their-head-and-some-can-talk-with-them-survey-reveals


イギリス・ダラム大学の研究チームは大手新聞のThe Guardianと共同で行った研究で、2014年または2018年のエディンバラ国際ブックフェスティバルに参加したプロの小説家を対象に聞き取り調査を実施しました。調査の結果、回答した181人の小説家のうち63%が「執筆中に登場人物の声が聞こえる」と答えたほか、15%は「自分自身が登場人物と会話できる」と述べたそうです。

ある回答者は、「私は彼らの声を頭の中で聞いています」と述べ、それぞれのキャラクターが明確な声質とトーンを持っているため、複数のキャラクターが話していても誰が誰なのかを常に把握できると答えたとのこと。別の回答者は、自分自身が心の中でつぶやく声とキャラクターの声は別物であり、キャラクターが話している時の自分はまるで観客のような立場にあると述べました。また、多くの小説家はキャラクターの声が頭の中で聞こえると答えたものの、中には実際に現実と同じような声が聞こえたと報告する人もいました。

また、回答者のうち61%は、自身が書いている小説のキャラクターが自分の手を離れ、キャラクター自身の意思で独立して行動することができたと回答しました。回答者の中には「彼らは時々、私が頭の中で持っている彼らへの考えが間違っていると教えてきます。彼らは私に対し、自分がそのように振る舞ったり話したりしないと言ってきます」と述べる人や、「私は作中で起こっている出来事に、時々驚かされます。私が作品を作っているにもかかわらず、自分がシーンを目撃して会話を聞いているかのように感じることがよくあります」と主張する人もいたとのこと。


一連のプロジェクトで主任研究者を務めたジョン・フォックスウェル博士は、「私たちが調査した小説家は、全員が同じ経験をしているわけではありませんでした」と述べ、小説家の中でも登場人物の声が聞こえる人や聞こえない人がおり、聞こえる人の中でも体験の程度はさまざまだった点を指摘しています。

また、フォックスウェル博士は小説家が体験する「登場人物の声が聞こえる」という現象について、人が声を出さずに心の中で声を出すインターナル・モノローグ(内的発話)と関連があると考えています。「私たちが意識しているかどうかにかかわらず、多くの人は日常生活の中で、ほかの人が次に何を言ったり行ったりするのかを予想しています。一部の作家は本物の人間と同様にキャラクターの人格モデルを作り出し、脳内でキャラクターの発言や行動を予想していたため、やがてキャラクターが自立し始めたのかもしれません」と述べました。


研究チームは小説家に対し、日常生活の中で自身が書く小説のキャラクターと関係のない幻聴を聞く頻度や、明瞭な内的発話の頻度、子どものころにイマジナリーフレンドを持っていたかどうかについても尋ねました。「私たちは、キャラクターの声を聞くと答えた小説家が、鮮やかな内的発話や幻聴の高い頻度を示し、幼少時にイマジナリーフレンドがいた可能性が高いと予想しました」と、研究チームは述べています。

しかし、調査の結果からは、幻聴などの体験やイマジナリーフレンドの有無は、キャラクターの声が聞こえるかどうかにあまり関係ないことが示されました。このことから研究チームは、「キャラクターの声を聞いたりほかの特殊な現象に遭遇したりすることは、精神健康的な問題の症状ではありません」「これは、自分の想像力のコントロールを失うことを含む想像力豊かな状態が、健康的かつ安全であり、一部の人々がフィクションを作る上で重要なものだと示しています」と主張しました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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