先進国で失速しつつあるMetaはアフリカに新天地を見いだしている

主力SNSであるFacebookのユーザー数が減少に転じ、個人情報の扱いをめぐりヨーロッパからの完全撤退も示唆しているMetaは、近年アフリカへの投資を拡大させています。その背景には、急成長しつつあるアフリカ諸国でいち早く勢力を広げる意図があると、イギリスの大手一般紙・The Guardianが報じました。

Facebook’s fibre optics in Nigerian state put Africa pivot in focus | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2022/apr/18/facebook-meta-mainone-fibre-optics-internet-access-nigeria-edo

Meta(旧Facebook)は、2020年にアフリカ全体にインターネットを提供する世界最大規模の海底ケーブル敷設計画を発表するなど、ネットインフラの整備に力を入れています。

Facebookがアフリカ全体にインターネットを提供する世界最大規模の海底ケーブル敷設計画「2Africa」を発表 - GIGAZINE

Metaが2019年に、西アフリカで光ファイバーの敷設をしている企業であるMainOneと共同で、ナイジェリアのエド州に全長400kmの光ファイバーケーブルを整備したのも、こうした流れの1つです。2020年までエド州政府の高官として働いていたエマニュエル・マグナス・エウェカ氏は、The Guardianの取材に対して「当時FacebookだったMetaは、明らかにデジタルインフラ企業ではありませんが、州政府とMainOneのケーブル敷設計画に投資してくれました」と話しました。

2億人の人口とアフリカで第1位のGDPを誇るナイジェリアですが、インターネットの普及率はまだ低く、料金も高いままです。しかし、スマートフォン普及に伴い同国のインターネット利用率が人口の半分を超え、さらに増加の一途をたどっているため、潜在的なユーザーの獲得を目指す企業は、ナイジェリアでのインターネット普及を支援する事業への投資を通じた市場参入を狙っているとのこと。

エド州政府は、MetaやMicrosoftなどと共同で行政サービスや学校教育のオンライン化を進めているほか、2020年には20万平方キロメートルの土地にIT企業が集まってエコシステムを形成するEdo Tech Parkプロジェクトを発表。同州のゴドウィン・オバセキ知事が推進する市民生活のデジタル化アジェンダは、先進国の巨大IT企業がその根幹を担っています。

Metaの広報担当者は、エド政府とのパートナーシップの成果について、「当社はパフォーマンスと効率の両面でイノベーションを推進しており、MainOneとの共同でエドの教師2000人にオンライントレーニングを提供したり、4つの学校とその周辺コミュニティのオンライン化を実現させたりすることができました」と述べました。

一方現地には、慈善事業のようにも見えるこうした動きに対して慎重な意見もあります。ナイジェリアのラゴスを拠点とする経済分析会社・Stearsでアナリストを務めるGbemisola Alonge氏は、「彼らのようなIT企業が行っているこれらの支援は、非常に利他的に映ります。しかし、決してそのようなことはありません。これは、自分たちの手を広げ、ユーザー数を増やすためなのです」とコメントして、あくまで利益を追求するための動きであるとの見方を示しました。